米女子プロツアーの宮里藍が3年ぶりトップ3に入った。復活のきっかけになってほしい。
 米LPGAツアー「KIAクラシック」は27日、カリフォルニア州カールスバッドのアビアラGC(6558ヤード、パー72)で72ホールストロークプレーの最終日を行った。首位から8打遅れ15位スタートの宮里は1番ボギーと出遅れたが、5番のバーディーで波に乗り合計7バーディー、34、32の66、通算12アンダーで単独3位を占めた。最終日ベストスコアタイ。13年3月の「ファウンダーズカップ」で2位以来のトップ3入りで“トンネル”を抜けた。世界ランクトップのリディア・コ(ニュージーランド)が優勝。7打差はつらいが、上昇気流に乗ったことが大きい。

 藍、復活の兆しだ。ドライバーショットがフェアウエーを外したのは1ホールだけ。フェアウエーキープ率85・07パーセント。安定したショットにアイアンも冴えた。9番ではピン50センチにつける“OKバーディー”も出た。猛チャージを作り出したのは快調なパッティングだった。4、5メートルのフック、スライスラインを的確に読み切ると次々と沈めた。
 「シーズン初めから手ごたえはあった。やっと証明できたかなという感じ」明るい笑顔が戻った。過去3年でトップ10に入ったのはほかに6位があっただけのわずか2回。デビュー6年で9勝をあげながら13年以降は極度の不振にあえいだが、復活した。

 20代最後の昨シーズンは「自分を見失った」とシーズン末に明かした。「ショットがよくなくシーズン後半はあれこれ試行錯誤を繰り返した。予選落ちばかりであせりもあったと思う」。
 しかし、落ちるところまで落ちたことで再発見があった。15年シーズンを振り返って
 「技術的なことばかりを追いすぎていた。シーズン末ごろにそんな自分と向き合って、これは精神的な問題、メンタルなのだと気付いた」と語ったのは帰国した12月。
 普段やらない技術を追求することでスランプを脱しようと試みたが、そのこと自体の無理が自分を追い込んでいた、ということだろう。ゴルフのレベルの差はあってもゴルファーなら思い当たるメンタル面の問題だった。
 4歳でゴルフをはじめ13年目の今年だ。アマ優勝で、認定プロ入りすると日本23勝、アメリカ9勝、世界ランキングトップにも立ったこともある。上へ、上へとのぼりつめて次はどこへと探すうちに行き場がなくなっていた。

 3年ぶりのトップ3入り。トンネルのかなたに見える光はわずかな明かりかもしれない。だが、子供のころ、父・優さんと学校1番、ゴルフ2番とやってきて今がある。「今を楽しもう」と決めた宮里が人生1番、ゴルフ2番と新たな生き方で得た収穫だからこそ価値がありそうだ。
 次週は悲願とするメジャー優勝のチャンス到来だ。女子プロメジャーの第1戦「ANAインスピレーション」(31日―4月3日、カリフォルニア州ミッションヒルズCCダイナ・ショア・コース)で、新生・藍ちゃんを見るのが楽しみだ。

 

武藤 一彦(むとう・かずひこ)
ゴルフジャーナリスト。コラムニスト、テレビ解説者。報知新聞には1964年入社、運動部に所属、東京オリンピックはじめボクシング、ゴルフ、陸上担当。編集委員、専属評論家も務めた、入社以来50年、原稿掲載の”記録”を現在、更新中。
日本ゴルフ協会広報参与、日本プロゴルフ協会理事を経て日本プロゴルフ殿堂表彰選考委員、日本ゴルフ振興協会広報メディア委員、夏泊ゴルフリンクス理事を務める。

ゴルフは4メジャーのほか、ワールドカップなど取材、全英オープンは1975年から取材し日本人記者のパイオニア的存在。青木功のハワイアンオープン優勝にも立ち会った。1939年生まれ。東京都出身、立大出。

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