シニアのメジャー、「全英シニアオープン選手権」は24日、スコットランドのカーヌスティー・ゴルフ・リンクス(パー72)で最終ラウンドを行い、井戸木鴻樹(54)=小野東洋=は30位に終わった。優勝は英国のブロードハーストがスペインのアンヘル・ヒメネスを大逆転で下し初優勝を飾った。

 

 井戸木は第2日に首位に立ち2013年のシニアメジャー、「全米プロ選手権」に次いでメジャー2勝目が期待される存在感を見せたのは収穫だった。

 

 井戸木にとって英国はシニアデビューを果たした思い出の地だ。2012年、シニア入りしたルーキーイヤー、日本ですぐ優勝、賞金ランク上位に入り英国に遠征、海外デビューしたのが全英オープンだった。レギュラーツアー時代は飛ばないが、曲がらないドライバーの正確さと小技のしぶとさに定評があったが、2013年5月、米デビュー戦の全米プロシニア選手権は、持ち味が見事はまった。好スタートを切り、あれよ、あれよという間に日本男子初のメジャー優勝という金字塔を打ち立てた。

 

 以来、井戸木の競技生活は一変した。日本初のメジャーチャンピオンとして毎年、メジャー大会に“日本の顔”として参加し続けている。全米プロに勝ったことで2018年までのメジャーの5年シード権が与えられた。それは名誉だが、義務でもある。日本ツアーの合間に出かける遠征は年間2、3回。日本でも成績をあげ、なお遠征に出れば王者としてそれなりに重圧が伴う。「心技体を整えるだけでも大変です」といったことがある。

 

 「何が変わったといって精神的に強くなった。メジャーチャンピオンとして、日本の代表として恥ずかしくない選手になろう。そんなプレッシャーが僕を支えてくれています。生きがいでもある。でもしんどいと思うことも時々ある」4年目を迎える昨年、本音を漏らしたものである。

 

 今大会。2日目の首位に立った井戸木は晴れ晴れとして見えた。全英オープンの中でも、難コースで知られるカーヌスティーで“IDOKI”の存在をアピールできた。2日間だけの王者の座だったが、それで十分だった。チャンピオンの呪縛、それがプレッシャーとなっていたのなら呪縛が解けた今大会だったのではないか。あと2年、これから新しい時代が始まる。期待したい。

武藤 一彦(むとう・かずひこ)
ゴルフジャーナリスト。コラムニスト、テレビ解説者。報知新聞には1964年入社、運動部に所属、東京オリンピックはじめボクシング、ゴルフ、陸上担当。編集委員、専属評論家も務めた、入社以来50年、原稿掲載の”記録”を現在、更新中。
日本ゴルフ協会広報参与、日本プロゴルフ協会理事を経て日本プロゴルフ殿堂表彰選考委員、日本ゴルフ振興協会広報メディア委員、夏泊ゴルフリンクス理事を務める。

ゴルフは4メジャーのほか、ワールドカップなど取材、全英オープンは1975年から取材し日本人記者のパイオニア的存在。青木功のハワイアンオープン優勝にも立ち会った。1939年生まれ。東京都出身、立大出。

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