☆もうトシだ、は自分をだめにする。これからだ、の気持ちと実践がゴルフを支えてくれる

 

 1月末、都内のホテルで中小企業の経営者ら450人が参加したセミナーで田中さんとトークショーを行った。裸一貫から事業を展開し、失敗を繰り返しながら、今では賃貸管理の不動産業、飛行機の機内食加工の食品関連業など6社を超える会社の会長の田中さんだ。テーマは「自分も会社も元気な秘訣」。だが、元気の秘訣とくれば、82歳でエージシュート300回を目指す話題は欠かせない。実はこのセミナー、GOLF報知のこの連載「驚異のエージシューター田中菊雄の世界」が主催者の目に留まってゴルフの話もふんだんにということで、筆者は司会進行を務めた。会場のセルリアン東急ホテルの大ホールは展示ブースや屋台店も出て田中さんはスイングを披露するなど盛り上げるとその後のパーティーでは名刺交換の長蛇の列が連なった。歯切れのよい経営者としての人生、エージシュートをめざす前向きなゴルフ生活に共鳴した賛同者にもみくちゃになった。

 

 今回の語録は、格言や名手の名言としておなじみのものだが、人生とゴルフが実にうまく溶け合った田中さんが言うとまた違った味わいとなる。仕事、家庭、趣味などをあわせて成り立つのが人生であるのに、趣味の一種に過ぎないゴルフを人生と並列に位置させて「ゴルフは人生である」と言い切るところにゴルフの面白みや特徴がある。ゴルファーとは愛すべき人々の集まりのように思えてくる。

 

 田中さんである。「もうトシだ、昔の俺はこんなことはなかった、若い時は、もっと、うまかった、下手じゃなかった、いいたいのだろうが、それを言ってどうなるものでもない。昔を振り返った時点でいまのだめな自分を認めてもそれでどうなるものでもない」という。
 「ゴルフは1打1打がすべて始まり。今日が常に出発点。過去にとらわれていてはうまくいきません。成功も失敗もあるのならうまくいくことに集中する、希望をつなぐ。過去にとらわれ、ああでもない、こうでもないといっていては楽しくない。」

 

 「昔は」で始まるいいわけは確かによく耳にする。ほかに「ゴルフは趣味だから」とあえて本気でやっていないことを匂わせる。「たかがゴルフじゃないか」と言い放ち「だいの大人が遊びで真剣になるな」と一生懸命やっていることまで否定することもある。
 泣きを入れない人でもナイスショットを期待し好スコアを願ってやっているのにうまくいかなくなった途端、大嫌いになり自分をののしり不機嫌位なったりする。これでは人間性を疑われるというものだ。

 

 「いました失敗がスタートになる。これがゴルフのだいご味です。失敗したら次にどうやったらうまくいくか考え、工夫する。それがゴルフの面白さ、魅力です」
 どうせだめなら適当に、ではおそらく人生も適当人生。名人はそんなことはおくびにも出さずミスが出ると嬉しそうに、素振りを繰り返し、次を目指すのである。

 

 「物事は、楽な方向に行こうとすると、どんどんつらい方に行くだけだ。楽をしようと思ったらあえてつらい方へ行くことだ。するとそれが楽になるから、つらいこともつらくなくなる」この日の講演の締めにあたる最終ホールはそんな言葉でホールアウト。見習いたい。

 

 ◆田中 菊雄(たなか・きくお) 1935年3月3日、島根・松江市生まれ。82歳。神奈川・川崎市を拠点にリフォーム、食品など5社、社員400人を抱える「北山グループ」取締役会長。東京・よみうりGCなど4コース所属、ハンデ5。初エージシュートは06年8月、71歳のとき静岡・富士国際富士コースを70で回った。173センチ、65キロ。

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