今季米ツアーに挑戦中の小平智(28)が「RBCへリテージ」(サウスカロライナ州ヒルトンヘッドのハーバータウンリンクス、7,099ヤード、パー71)米ツアー初優勝を飾った。16日の最終日、6打差12位スタートの小平は5アンダー66のベストスコアをマーク、通算12アンダーの首位に立ち、韓国のキム・シウとのプレーオフ3ホール目にバーディーを決めて優勝した。日本選手の優勝は青木功、丸山茂樹、今田竜二、松山英樹と合わせ5人目となった。

 

 プレーオフの3ホール目。7メートルのバーディーパットをど真ん中から放り込んだ。右こぶしをたたきつけるようなガッツポーズを繰り返した。追い込まれたキムの6メートルのパットはカップをかすって外れると「今は頭が真っ白でなにもいえない。チャンスが舞い込んできた。最後のパットは(今日の)ハイライトだ」押し殺した声で喜んだ。

 

 6打差の12位からの逆転。最終組より50分も前のスタートだった。1、2、3番と連続バーディーで波に乗った。10番で10アンダーまで伸ばしたが、まだ3打差あった。「リーダーボード(速報)はずーっと見ながらやった。17番で4、5位だったのが18番に来たら2位になっていてびっくりした」上位陣が崩れプレーオフ。逆転劇の生まれる舞台は整っていた。「(アーノルド)パーマーさんが第1回のチャンピオン。今回で50回目の大会だったそうですね。トップ10に入って次のきっかけにしようとやっていた。コツコツ行くタイプなので(優勝が)、一気にきてどうしようかな」心底、困った様子が初々しかった。

 

 悔しさがばねになった。今大会、82位スタート。2日目に8バーディーの63が出て13位に上昇した。昨年の日本ツアーの賞金ランク2位。しかし、最終戦の日本シリーズJTカップで宮里優作に逆転を食らった。エースドライバーのヘッドが割れ、新しいクラブはなじまず精神的に参っていたが、今季ようやく調子が戻った。パットはゴルフを始めて以来の好感触だった。3日目70で12位。コツコツ型と自負するが、勝負所では目をむいて勝ちにいって成功している。初優勝の「13年日本ツアー選手権」、「15年日本オープン」アマ時代、プロのチャレンジツアーで優勝もさらっている。大物食いの本性は生きていた。第2ラウンド、そして最終日の追い上げと2度のベストスコア。何よりプレーオフを制して、世界に通用することを証明した。この優勝で来年のマスターズと2年シードが手に入った。ワールドランクは上昇一途だ。全米、全英オープンも「ウエルカム!」と手を差し伸べてくるだろう。口を開けば「世界挑戦」―それが口癖だったがすべてをその手でがっちりと掴んだ。小平の新しい世界が始まった。

 

武藤 一彦(むとう・かずひこ)
ゴルフジャーナリスト。コラムニスト、テレビ解説者。報知新聞には1964年入社、運動部に所属、東京オリンピックはじめボクシング、ゴルフ、陸上担当。編集委員、専属評論家も務めた、入社以来50年、原稿掲載の”記録”を現在、更新中。
日本ゴルフ協会広報参与、日本プロゴルフ協会理事を経て日本プロゴルフ殿堂表彰選考委員、日本ゴルフ振興協会広報メディア委員、夏泊ゴルフリンクス理事を務める。

ゴルフは4メジャーのほか、ワールドカップなど取材、全英オープンは1975年から取材し日本人記者のパイオニア的存在。青木功のハワイアンオープン優勝にも立ち会った。1939年生まれ。東京都出身、立大出。

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