経済界に幅広い人脈を持つ松井功・日本プロゴルフ協会相談役(72)=スポーツ報知評論家=が、財界トップランナーにゴルフや経営について聞く「松井功のグリーン放談」。第7回のゲストは、昭和シェル石油株式会社の香藤繁常代表取締役会長グループCEO(66)。石油元売り大手ながら、確固たる信念で太陽光発電を第二の事業に育成した香藤会長は、ゴルフでも驚異の練習量で60歳代になってから進化を続ける、情熱の人だった。(構成・鈴木 憲夫)

ƒOƒŠ[ƒ“•ú’k松井「会長とは長いお付き合いですが、昔はチーピンで悩んでましたね」

香藤「今はパワーフェードを打つんですよ。当たると280ヤードぐらい」

松井「ほおー!」

香藤「最近、ゴルフが楽しくて。早く仕事やめて、ゴルフに専念したいぐらいです(笑い)」

松井「練習も熱心だそうですね」

香藤「松井プロに頂いたDVDを見て、イメージを思い浮かべながら練習してます。どういうスイングをしたいかというイメージがないと、いくら練習してもダメ。プロのスイングに、いかに自分のスイングを近づけていくか、ですね」

松井「目標が高いですね」

香藤「男子プロと一緒に回ると、50ヤードも60ヤードも置いていかれる。同じ人間ですから、どこかに我々の知らない技術が隠れているのではないかと思うんですね。ですからプレー前に1時間。一人で自分のコースに行くときは、回った後も1時間、必ず練習します」

松井「帰って、夕食を食べてから練習に行くこともあるとか」

香藤「若いときはそうでした。ハタと気がつくと、居ても立ってもいられない」

松井「よく奥さんがあきれませんね(笑い)。そのかいあって昨年、アンダーのベストスコアをお出しになった」

香藤「九州のコースで、70でした。今が一番、飛んでるかもしれません。体の回転で打てるようになってきました」

松井「私も先日、試合でエージシュートを達成したんですよ」

香藤「日本の年寄りパワーはすごいというのを見せないと(笑い)。そう簡単に若いのに負けないぞと(笑い)」

松井「そこまでゴルフにのめり込む理由は何でしょう」

香藤「ゴルフには世代を超えた魅力がありますね。ビジネスとの共通点も多い。まず、周囲への気配り。これはビジネスでいうと『顧客志向』です。次に自己責任。これは『コンプライアンス』と相通ずる。コースマネジメントはビジネスの『戦略』と同じ。ゴルフもビジネスも必ず失敗はありますが『リスクマネジメント』はまったく一緒です。クラブセッティングは『経営資源の配分』。マナーは『社会的許容性』。いろんな人と一緒に回るのは、ビジネスでいうと『人脈づくり』や『学び』に通じます」

松井「なるほど」

香藤「ゴルフしながら思うのは孔子の言葉です。『三人行へば必ず我が師有り』。周囲への気配りができない初心者と回っても、学ぶところがたくさんあります」

松井「教育が大事ですよね」

香藤「ゴルフほどマナー教育に向いたスポーツはないでしょう。例えば、学校の授業にゴルフを入れてマナーを教える。そうすれば将来的にはゴルフ人口も増えるし、ゴルフがより社会に根付いたスポーツとして広まっていくと思うんですよ」

松井「今、ジュニア育成はいろんなところが真剣に取り組んでます。その中で、道徳面や人間形成も必要だと。うまいだけではダメだよと」

香藤「結果的にはそれは、投資という見方もできるわけですからね」

松井「男子のレギュラーツアーが低迷しています。(スポンサーとなるはずの)財界が怒っているのは、プロアマで練習場に行ったら、アマの打席はないと言われた」

香藤「去年、ある男子ツアーのプロアマに行ったら、アマの練習打席が3、4枠しかない。あとは全部プロ。プロアマは本来、アマのためのイベントでしょう? 僕は今年、レギュラーのプロアマは丁重にお断りしました。レギュラーのプロアマが楽しかったという人、あまりいませんよ。シニアは会話が楽しかった、アドバイスもらったって。教えてもらっても、急にうまくなるわけない。しかし、気を使ってくれただけで、アマは十分、満足する。そこらへんが分かってない」

松井「PGAとしてはうれしい言葉です。LPGAも樋口久子さんが15年前から改革してきた」

香藤「3月に(ヨコハマタイヤ)プロギアカップで森田理香子プロと一緒に回ったんですよ。その時は大雨でハーフしか回れなかった。風邪引きそうなのに、女子プロたちは文句一つ言わない。森田プロから手紙が来た。『9ホールしか回れずに残念でした。ところどころ、スーパーショットも見させていただきました。次回はぜひ、1ラウンドご一緒できることを楽しみにしております』って。うれしいじゃないですか」

松井「賞金女王からね」

香藤「心がこもってますよ。僕は彼女の京都弁にぞっこんになりました(笑い)」

松井「プロの姿勢の問題ですね」

香藤「イ・ボミという韓国のプロがいますね。プロアマで2回ぐらい一緒に回りました。最初は3、4年前。ほとんど日本語はできなかった。ところが2回目に回ったときには会話が全部、日本語でした。わずかの期間にそこまで勉強した。彼女の言うことが素晴らしい。私の主戦場は日本です。日本語でギャラリーやメディアと会話するのが務めだと思います、と」

松井「立派ですね」

香藤「石川遼プロはだいぶ、英語が上達したそうですが、松山英樹プロがゆくゆくはメジャーで優勝しようと思ったら、片言でもいいから、英語で会話できるようにならないと。日本の一流プロは、腕だけじゃなくて品格でも世界から評価されなくちゃいけない」

松井「松山にも(米ツアーの)優勝スピーチで誰か、メモを渡せば良かったんですよ」

香藤「下手でもいいから(英語を)話す姿勢を見せるだけで、向こうのギャラリーは沸くんですけどね。これが予選を通過しないような選手ならどうでもいい。メジャーを勝てそうな選手ゆえに、そう思うんですよ」

松井「ゴルフばかりでなく、ソーラーも絶好調ですね」

香藤「太陽光発電は、ゆくゆくは世界に貢献できる産業だと思っています。中東の電力需要は年率10%近く伸びてきていますが、このままいくと、7年後ぐらいには現在の2・5倍の石油が必要になる。(中東の)輸出量は激減し、原油が高騰して世界中に影響が出ます。再生エネルギーの開発は急務です。原発は治安の悪いところには造れませんからね。太陽光は安全な上に、温暖化対策としても貢献できます」

松井「石油元売り大手のトップでありながら太陽光にも目を向ける。なかなかできることではありませんね」

香藤「我々は昭和シェルを石油会社というより、中長期的にはエネルギーカンパニーという位置づけで考えてます」

松井「100%子会社のソーラーフロンティア社の技術は、オンリーワンだそうですね」

香藤「当社グループの技術は他にありません。薄膜系の発電効率では世界記録を達成しています。しかし、エネルギーというのは、一企業がどうのこうのではなく、世界貢献という考え方でやっていく必要があります。利益優先になると、どこかで間違いが起きる。あくまで、社会から必要とされるものを造り続けることで、感謝をされてお金が入ってくるというのが、持続的な成長を生むということですね」

松井「社会貢献こそが、企業の収益になるわけですね」

香藤「ゴルフでも同じですよ。目先のもうけではなくて、例えばゴルフが青少年教育や人間的な成長を促すとなれば、ゴルフ産業はものすごく伸びると思いますよ」

◆松井 功(まつい・いさお)1941年11月2日、神戸市生まれ。72歳。富士ゼロックス専属。用具契約はキャロウェイ。18歳で林由郎プロに師事し、66年プロテストにトップ合格。翌年、プロデビュー。主な戦歴は72年静岡オープン2位、79年全日空札幌オープン4位、80年ミズノゴルフトーナメント6位など。91年よりシニアツアーに参戦。2002年、日本プロゴルフ協会理事就任、広報委員長を経て、05年会長に就任。2期務めた後、13年から相談役。一般財団法人日本プロゴルフ殿堂理事長、NPO法人日本ジュニアゴルファー育成協議会(JGC)理事長、阿山カンツリー倶楽部理事長。烏山城カントリークラブ会長。

◆香藤 繁常(かとう・しげや)1947年8月2日、広島県生まれ。66歳。70年、中大法学部を卒業しシェル石油(現・昭和シェル石油)入社。2001年取締役。06年代表取締役副会長、09年同会長、13年からグループCEO兼務。社外では一般財団法人日本経済団体連合会常任幹事、公益財団法人日本生産性本部幹事会幹部、一般財団法人国際難民支援会評議会議長などを歴任。

昭和シェル石油は85年、シェル石油と昭和石油が合併して誕生した国内石油元売り大手。13年の売上高は2兆9538億円。香藤会長は太陽電池と発電事業からなるエネルギーソリューション事業を積極的に推し進め、第二の柱に育成。100%子会社のソーラーフロンティア社は13年に黒字に転化。同社の開発したCIS型薄膜太陽電池は他社にはない技術で、急激に売り上げを伸ばしている。石油事業では12年ぶりに新ハイオクガソリン「V―POWER」を7月より販売開始。趣味はゴルフ。

松井 功(まつい・いさお)
1941年11月2日、神戸市生まれ。72歳。富士ゼロックス専属。用具契約はキャロウェイ。18歳で林由郎プロに師事し、66年プロテストにトップ合格。翌年、プロデビュー。主な戦歴は72年静岡オープン2位、79年全日空札幌オープン4位、80年ミズノゴルフトーナメント6位など。91年よりシニアツアーに参戦。2002年、日本プロゴルフ協会理事就任、広報委員長を経て、05年会長に就任。2期務めた後、13年から相談役。一般財団法人日本プロゴルフ殿堂理事長、NPO法人日本ジュニアゴルファー育成協議会(JGC)理事長、阿山カンツリー倶楽部理事長。烏山城カントリークラブ会長。

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