経済界に幅広い人脈を持つ松井功・日本プロゴルフ協会相談役(72)=スポーツ報知評論家=が、財界トップランナーにゴルフや経営について聞く「松井功のグリーン放談」。第9回のゲストは、オリックス株式会社の代表取締役会長・グループCEOを退いたばかりの宮内義彦シニア・チェアマン(79)。財界きっての規制改革論者でもある宮内氏は、オリックス・バファローズに深い愛情を注ぐ情熱の人だった。(構成・鈴木憲夫)

ƒOƒŠ[ƒ“•ú’k松井「宮内オーナーの野球好きは有名ですが、ゴルフのほうは何歳ぐらいからですか?」

宮内「27、28歳ですかね。東京に赴任して初めて住んだマンションの屋上に、ゴルフ練習用の網が張ってあったんですね。それを見た友達が、やらないともったいないと、クラブをくれたのが始まりで。それが右のドライバー。私、左利きなんですよ(笑い)。えらいことなったなと」

松井「アメリカ留学中は、ゴルフどころではなかった?」

宮内「私が行ってた大学(ワシントン大学)には学校にゴルフ場がありましてね。体育の科目にもゴルフがあった。ビジネススクールに体育はないんですが、話を聞くと面白かったのが、採点はボール3つもらって、100ヤードからオンするかどうかだって(笑い)」

松井「ゴルフは野球と違って個人スポーツですから、難しさも違いますか?」

宮内「それは松井さんがよくご存じで(笑い)。一生、うまくなったことがない。ハンデも最高で16。今や25ですが、25じゃとても回れんなというのが現況です」

松井「茂木(友三郎氏、キッコーマン名誉会長)さんとはよくやられる?」

宮内「はい。永久スクラッチです。どちらも素晴らしいプレーヤーで(笑い)」

松井「OGM(オリックス・ゴルフ・マネジメント)は現在、40コースですか。いいコースばかりですね」

宮内「当社はあまり安値を追わずに、コースの内容を良くすることに力をいれてます。例えば昼に2時間、待つと言うことは絶対にないと」

松井「(OGMの)きみさらずゴルフリンクスには時々、行きますよ」

宮内「僕、あまり好きじゃないんですよ。めちゃくちゃ難しい(笑い)。シングルの人は逆に面白い、もう一回来たいと言ってくれますけど。(設計の)ピート・ダイにはサディズムの傾向があるんじゃないですかね(笑い)」

松井「宮内さんは野球界でも論客として有名です。オーナー会議でも意見がぶつかったりするんですか」

宮内「意見は聞いていただけるけれども、まったく通らない(笑い)。孤立無援(笑い)。結局、理念の相違なんですね。内情を話し始めると、書けない話ばかりになっちゃいますけど(笑い)」

松井「今季のオリックスは頑張ってますね。森脇浩司監督は、なかなか名監督じゃないですか」

宮内「彼は地味ですが、コーチ歴が非常に長い。その大部分が王さんの下で、言うならば王監督の一番弟子です。指導者としてはきっちりとした道を歩んできた人ですね」

松井「なかなか渋い人選でしたね」

宮内「いろいろあったんですが、当社で一番花開いた人と言えば仰木さん。彼も選手としてはいぶし銀で、西本さんの下とかでコーチ修業をして監督になった人です。そういう道を来た人の方が男の力があるんですね」

松井「野球は投手とよく言いますが、監督の力は何割ぐらいですか」

宮内「名監督で1シーズン5勝。ノット名監督で5敗だと思ってます」

松井「いってこいで10勝ですか」

宮内「マキシマムでね。だから今季(監督で)3勝か5勝してくれれば。今までは恐らく3敗とか5敗とかしてた(笑い)」

松井「オーナーは長嶋さんとか王さんを監督に招聘したいとお考えだったと聞きましたが」

宮内「いやいや、それはなかった。高望みですよ。ただ、土井さんを監督にお願いしたのは、彼の出身は兵庫県なんですよ。で、巨人からもらい受けるということになって、長嶋さんに仁義を切って、一緒に食事をしたこともありました」

松井「その長嶋監督が巨人に戻られて、96年、日本シリーズをやって勝ったんですものね」

宮内「面白い因縁ですね(笑い)。そりゃ、ジャイアンツに当たったときはうれしいなあと思う反面、これはまずいなあ、負けるんやろなあと(笑い)。勝ったときはうれしかったですね。あれで神戸は沸き立ちましたよ」

松井「阪神・淡路大震災の翌年ですね」

宮内「もう昔話ですよ。その後、勝ってないんだから(笑い)。なかなか、自前でいい選手を育てるのは大変ですね」

松井「仰木さんがイチローを育てて、イチローも何年か先には、監督の候補の1人ですね」

宮内「ワッハッハ」

松井「イチロー監督のオリックスと、松井監督の巨人の日本シリーズなんか、いいですね」

宮内「ワッハッハ」

松井「イチローは天才ですか」

宮内「いや、僕は全然そうじゃないと思います。ただ、野球は大好き。練習の虫ですね。ものすごい練習してますよ。生活すべてを野球にささげてる。それが当然だと思ってるんでしょう」

松井「天性に加えて努力ですか」

宮内「好きなんでしょう。納得いくまでやりたいんでしょうな。もう、イチローも40歳になっちゃったんだね」

松井「髪に白いモノが目立ち始めましたね」

宮内「どういう心境かなあ」

松井「宮内オーナーと言えば、規制改革の旗頭として、いろいろとご活躍されてきましたが、今の安倍政権の方向性をどう見てらっしゃいますか」

宮内「安倍さんが出てきて、2013年は20年ぶりに素晴らしい年だった。日本にとって。しかし14年になって少し、素晴らしさが剥げてきた。第三の矢が出てこない」

松井「第三の矢には構造改革が必要でしょうが、そこが進まない」

宮内「おっしゃる通り。これが進まないと第一と第二の矢がムダになっちゃうんですね」

松井「ゴルフ界も改革が進みません。男子ツアーは試合数がドンドン減ってる。何か良い知恵はありませんか」

宮内「今、女子プロの方が人気あるでしょう? なぜかというと、女子プロを率いる指導者が非常によくやったと思うんですよ。僕もプロアマに呼んでいただいた時は女子プロなら行くんです。スポンサーを大事にしてくれて話が弾んで、ちゃんと手紙も来る。よく教育してます。日本の男子に比べて、アメリカの選手はいいですね。ハワイのソニーオープンに行ったら、名のある選手も皆、礼儀正しい」

松井「LPGAは樋口久子さんが会長時代にきちんと改革しました。僕もPGA会長時代にはシニアを活性化するために、教育したつもりです」

宮内「シニアはいいですね。かつての名選手もだいぶ枯れて、いいオジサンになってね。この間、ファンケル(のプロアマ)に行ったら、一緒に回ったのが高橋勝成さん。実にナイスガイで悪いところはめちゃくちゃ教えたがるんです(笑い)。そんな高度なこと、教えてもらっても分からん(笑い)。でも、シニアはものすごく気持ちいいですね」

松井「男子プロに関しては、皆さん、同じことをおっしゃいますね」

宮内「ということは事実なんですよ」

松井「選手会長の池田勇太は頑張ってますが」

宮内「もっと上の立場の人が必要ですよ。アメリカで言ったらコミッショナーですよね」

松井「日本のゴルフ界も、コミッショナーが必要な時代に来ましたね。さっきの森脇監督の話もそうですが、何事も指導者ですね。大事なのは」

宮内「指導者です。会社でも一緒ですよ。指導者が間違ったら間違っちゃうんですから」

◆宮内 義彦(みやうち・よしひこ)1935年9月13日、神戸市生まれ。79歳。58年関西学院大商学部卒業。60年ワシントン大学大学院卒(MBA取得)、日綿實業(現・双日)入社。64年オリエント・リース入社。70年取締役、80年代表取締役社長・グループCEO。89年オリックスに社名変更。2000年代表取締役会長・グループCEO。14年6月、取締役・グループCEOを退任し、シニア・チェアマンに就任。オリックス・バファローズのオーナー。

日綿時代、米に派遣されてリース業の本質を学び、13人の設立メンバーの1人としてオリエント・リースの創設に携わる。45歳で社長に就任し、トップとして在任33年の間に金融事業を中心に多角化を推進。従業員約2万6000人、営業収益1・3兆円を超える総合金融グループへと成長させた。

社外では政府の規制緩和・行政改革の諮問委員会や関連会議のトップを歴任。財界きっての規制改革論者として知られる。株式会社ACCESS及び株式会社ドリームインキュベータの取締役を現任。

◆松井 功(まつい・いさお)1941年11月2日、神戸市生まれ。72歳。富士ゼロックス専属。用具契約はキャロウェイ。18歳で林由郎プロに師事し、66年プロテストにトップ合格。翌年、プロデビュー。主な戦歴は72年静岡オープン2位、79年全日空札幌オープン4位、80年ミズノゴルフトーナメント6位など。91年よりシニアツアーに参戦。2002年、日本プロゴルフ協会理事就任、広報委員長を経て、05年会長に就任。2期務めた後、13年から相談役。一般財団法人日本プロゴルフ殿堂理事長、NPO法人日本ジュニアゴルファー育成協議会(JGC)理事長、阿山カンツリー倶楽部理事長。烏山城カントリークラブ会長。

松井 功(まつい・いさお)
1941年11月2日、神戸市生まれ。72歳。富士ゼロックス専属。用具契約はキャロウェイ。18歳で林由郎プロに師事し、66年プロテストにトップ合格。翌年、プロデビュー。主な戦歴は72年静岡オープン2位、79年全日空札幌オープン4位、80年ミズノゴルフトーナメント6位など。91年よりシニアツアーに参戦。2002年、日本プロゴルフ協会理事就任、広報委員長を経て、05年会長に就任。2期務めた後、13年から相談役。一般財団法人日本プロゴルフ殿堂理事長、NPO法人日本ジュニアゴルファー育成協議会(JGC)理事長、阿山カンツリー倶楽部理事長。烏山城カントリークラブ会長。

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