とんでもないシャフトがひそかに流行している。フジクラから3月に発売された「AIR Speeder(エアースピーダー)」。なんと重量はたったの33グラム、トルクは9・8もあって、グニャグニャだ。これで本当にボールが打てるのか。試打室で、コースで、シニア記者がじっくり試してみた。

 いきなり舞台裏をばらすようで恐縮だが、最初は「エアースピーダー」を記事にするつもりはなかった。昨秋、発売されたフジクラの新シャフトの評判がいいので、同社のフィッティングと合わせてネタにしようと思っていたら、広告の山崎が「だったらこれも打ってみて下さい」と持ちこんできたのが、カタナの「VOLTIO 2 G Hi」にエアーを挿したドライバー。たまたまラウンドが入っていたので、試打室より先にコースに持って出た。

 最初はとても打てるとは思えなかった。テークバックしただけで、グニャリとしなる。女性用以上に軽くて柔らかい=別表=。「パワーがある人でも飛ぶそうです。コツは、振り切ることです」とカタナの受け売りを力説する山崎。確かにオジサンでも飛ぶクラブを探してと頼みはしたが、さすがに…。しかし、これがよく飛んだのだ。

 持ち込んだのはスターツシニアでおなじみのスターツ笠間ゴルフ倶楽部。井上誠一設計の名門コースだ。アドバイス通り、一気に振り切る。ボールは高いドロー。商品名のGはグース、Hiは高反発の意味。カタナ独特の設計で球がつかまる。

 6番パー4は345ヤードの左ドッグ。正面バンカーの奥はOBで「キャリーで230ヤードを超えると危険です」とキャディさん。なら大丈夫とドライバーを振ったら、独特の金属音を残したボールは、スッと奥に消えた。まさかのOB。高反発もあるが、軽さのお陰でヘッドスピードも上がっている。

 流行の低スピン系ドライバーは、ある程度のパワーがないとボールが上がらず、実は使いにくい。この「VOLTIO×エアー」も飛び方を見ると低スピンだが、ハイ・トルクのお陰でリアルロフトは大きくなり、球は楽に上がる。これは面白い。

 後日、改めて東京・木場のフジクラゴルフクラブ相談室へ。エアーの話を聞こうと思ったら、同社スポーツ用品事業部マーケティング主任の甲斐哲平さんは「お勧めしているのはヘッドスピード(HS)37メートル毎秒以下の人なんですが…」と歯切れが悪い。取りあえず、フィッティングしてみてエアの数値を見てみようということになった。

 計測用のクラブを先調子から中、元調子と変えて打ってみる。数値が良かったのは中調子。記者へのお勧めはVC6・1のSだった。じんわりと撓る感触が、チーピン病のオジサンには振りやすい。HSも普段より速い44弱が出た。

 さてエアーである。1発目は大ダフリ。2発目は振り遅れ。ようやくタイミングが合ってきた3発目。HSはなんと45・8。その後も45台が続いた。

 「お上手ですね。普通は振れないんですけど」とお世辞を言ってくれる甲斐さん。シャフトは柔らかい方がヘッドが走る。ただし間が取れるかどうか。最初にミスしたのは、通常のシャフトで振り込んだため、タイミングが合わなかったのだろう。ラウンドでも他のクラブとのギャップ(例えば硬いサンドを使った後など)が気になった。

 すべての人に合うシャフトではない。メーカー側が積極的に勧めなかったのも、そういう誤解を避けたかったためだろう。しかし、合う人が使えば劇的に飛距離は伸びる。例えば、かつてシングルクラスで、加齢で飛距離の落ちてきた人。しかも、切り返しで間が取れる人。試してみる価値はあります。(鈴木 憲夫)

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