1926年、6人のプロが出場した日本プロ選手権が行われた4か月後の11月、同じ大阪・茨木CCでプロとアマチュアが日本一をかけて争う「第1回関西オープン選手権」が行われた。プロだけの試合が日本プロ選手権。そのプロとアマチュアが同じで土俵で勝ち負けをつけようというのがオープン競技だ。日本で初めての試み。歴史的意味合いは大きい大会は11月7日、36ホールのストロークプレーにプロ7、アマ27人の計35人が参加した。

 出場者は日本プロ優勝の宮本留吉、同2位の福井覚治そして越道政吉らに加え日本プロには朝鮮・京城にレッスンにでかけていて出場できなかった中上数一の姿もあった。関西のコースが中心となった地域限定の大会なので安田幸吉ら関東のプロの姿はなし。しかし、アマは地域の枠を越え、関西のゴルフ界の重鎮で初めてルール書を外国で発行した伊藤長蔵(舞子)日本アマの常連、HC・クレーン(鳴尾)らに混じって、神奈川の程ヶ谷CCから遠征した伊地知虎彦、南郷三郎らの姿があった。かくしてその年の日本アマの27人を越える32人の出場者は過去のどの大会よりも多い最多となった。

 なぜ関東の選手が?と疑問は尽きないが、当時アマは日本アマが1907年から行われ1926年5月には関東・関西婦人対抗戦が東京ゴルフ倶楽部で開催され、アマチュアの競技志向はコースができるスピードに比例し高まり全国規模で広がっていた。アマはおおらかに枠を越えて参加したい大会にこだわりなく出場したものと推測される。

 開催コースは関西きってのチャンピオンコース茨木が日本プロに続き舞台。前年、オープンしたばかりで芝ツキが悪く半年前の日本プロでは苦労したが、ひと夏を過ぎ芝も生えそろった。好スコアが続出した。

福井、驚異のイーブンパーで首位独走

 日本のプロ第1号、34歳の福井がアウトを3アンダー33と好スタートを切った。先の日本プロで弟子の宮本にプレーオフ負けの惜敗を喫したが、ベテランは意地を見せた。インは3オーバーの39でイーブンパーは驚異的なロースコアだ。

 2番手には神戸・六甲の少年キャディーからプロとなった中上がアウト35、インでは46をたたく81。中上とともに同じ六甲の少年キャディー出身のプロ越道も81、その差8打差と3人の争いとなった。

 意外だったのは、日本プロで福井をプレーオフで下した初代チャンピオン、宮本の乱調だ。42,44の86をたたくと、アマの伊藤83、小寺酉二85の後塵をはいす6位。首位から12打も遅れた。

 午後の最終ラウンドには首位から20ストロークまでの15人が進出した。この方式は以後のストロークプレー方式のオープン競技の方式として、日本オープンでも採用された。3人のプロと14人のアマが決勝ラウンド進出を逃した。

 福井の調子は午後も衰えずアウトで38とハーフのベストをマーク、イン44と手堅くまとめ82、通算154で逃げ切った。2位中上に6打差。3位には10打差で越道。宮本は午後84と追い上げたが、アマの伊地知と並んで170の4位タイに並ぶのが精いっぱいだった。

 関西の茨木、鳴尾、舞子などが中心となりマスコミがバックアップした第1回関西オープンは日本のプロ第1号、福井が初代チャンピオンに座った。アマ27人の中には関東勢も混じり出場人数も驚異的な数。日本オープンの様相といってもおかしくない盛り上がりだった。

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 優勝した福井には表彰式で金のメダルが贈られた。メダルの表面に英語で「プライド・ツー・ザ・ウイナー」(勝者の誇り)の文字。クロスしたクラブをあしらい、メダル本体には主催の関西ゴルフユニオンを現す英字と勝者を現す月桂樹をあしらい、やはり英語で「オープン・チャンピオンシップ」の英字が鮮やかに浮かび上がっている。

 こうして始まった関西オープンは、世界大戦で9年、9回にわたる中断はあったが、日本初のオープン競技とし日本の公式戦の一翼をにない、2015年には81回目の大会を滋賀・名神八日市CCで開催する。日本プロに次ぐ老舗大会、関西オープン。次回からチャンピオン福井覚治を中心に追ってゆく。

武藤 一彦(むとう・かずひこ)
ゴルフジャーナリスト。コラムニスト、テレビ解説者。報知新聞には1964年入社、運動部に所属、東京オリンピックはじめボクシング、ゴルフ、陸上担当。編集委員、専属評論家も務めた、入社以来50年、原稿掲載の”記録”を現在、更新中。
日本ゴルフ協会広報参与、日本プロゴルフ協会理事を経て日本プロゴルフ殿堂表彰選考委員、日本ゴルフ振興協会広報メディア委員、夏泊ゴルフリンクス理事を務める。

ゴルフは4メジャーのほか、ワールドカップなど取材、全英オープンは1975年から取材し日本人記者のパイオニア的存在。青木功のハワイアンオープン優勝にも立ち会った。1939年生まれ。東京都出身、立大出。

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