1本1200万円のシャフトをご存じか。セブンドリーマーズという、小惑星探査機「はやぶさ」プロジェクトの一翼を担ったカーボン繊維強化プラスチック(CFRP)メーカー傘下の会社が作っている超高額シャフトが、口コミで話題を呼んでいる。いわば「宇宙品質」のカーボンシャフト。なぜ、それほど高いのか。お金はないが、好奇心だけは旺盛なシニア記者がのぞいてみた。

研磨も塗装もしないため、セブンドリーマーズシャフトはカーボン繊維がはっきり見える

研磨も塗装もしないため、セブンドリーマーズシャフトはカーボン繊維がはっきり見える

 カーボン繊維の網目がくっきりと見える。ツルンとした表面。一見、何の変哲もないように見えるが、ここにセブンドリーマーズシャフトの秘密がある。「私どものシャフトは、塗装をしていません。研磨もです。というより、必要がないんです」と、同社カーボン事業企画室の別府有里子室長。製法がまったく違うのだという。

 通常のカーボンシャフトは、カーボン繊維をシート状にしたプリプレグを芯金に巻き、オーブンで焼く(硬化する)のだが、その時に熱収縮テープを巻く。1気圧ではテンションが足りないためだ。しかし、そのテープをはがす時にシャフトに凹凸ができてしまう。そのため研磨、塗装の工程が必要になり、結果として個体差が生まれる。

 セブンドリーマーズでは専用硬化型を使い、大型のオートクレーブで6~10気圧という圧力をかけて硬化するため、テープは必要ない。凹凸ができないので研磨も塗装もいらず、強度劣化もない。

 高気圧=真空で硬化するメリットはほかにもある。プリプレグに含まれる余分な樹脂が押し出され、カーボンの特徴がより際立つ。塗装の無駄な重量を省くことができ、スパイン(歪み)もほとんど出ない。

 実は、同社のシャフトは1200万円と18万円のオートクチュールデザイン(H)シリーズと、150万円と12万円のマトリクスデザイン(M)シリーズの2ライン4種類ある。両シリーズの違いは設計方法で、Hシリーズでは同社が独自に開発した3D測定システムを使って、3センチ刻みでシャフトの挙動を解析。このデータを基に設計される。一方、MシリーズはiPadアプリでデータを入力して設計を起こす。どちらもオーダーメイドだが、仮縫いで微調整するフルオーダーと、パターンメイドの違いと言えば近いかもしれない。

 同シリーズ内での価格の差は、シートや型の素材の差。1200万円のHプレミアムには、最新鋭の衛星に使われる特殊なCFRPが使われ、なんと成形の型も一から製作。完成時にはその型の一部も付いてくる。

 自分の癖とヘッドに合わせて作られる、世界に1本だけのシャフト。会社の創設から約1年。さすがに1200万円の購入者はまだ出ていないが、もう一つのHシリーズ(18万円)はよく売れているという。「みなさん、平均で20ヤードぐらい、飛距離が伸びているようです。何よりスイングが良くなりますね」と、LPGA会員でもある別府さん。スイングも? ウーン、これは、ヤバい。(鈴木 憲夫)

 ◆セブンドリーマーズ 問い合わせはTEL03・6809・3412。Hシリーズの受注は芝公園ラボ〒105―0014 港区芝3―14―4か、梅田ラボ〒530―0001 大阪市北区梅田1―2―2大阪駅前第2ビル1Fのどちらかで。

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