「ツーオンでバーディー外しもパーなら3オンでワンパットもパー。ゴルフは年齢,飛距離のあるなしに関わらずやり方はゴルファーしだい。どんなゴルフのやり方であろうと、4で上がれるようにできている」。何やら開き直ったような田中さんの言葉だが、パワーの衰えを自覚し100ヤード以内のショットを磨いてから開花した田中ゴルフだ。ここに奥の深さがある。
 ゴルフのやり方は、スコアのまとめ方、といい変えることができるが、寄せワンに徹したゴルフを消極策、と決めつけず、スコアを伸ばすために“利用”するところに田中ゴルフの奥の深さがある。ゴルフにおける進歩とは、日々の成長があって保たれ維持される。きょうできたことは明日もできて進歩なのだ。きょうできたことが明日にはできなければそれは退歩。それはスコアにはっきりと現れるから始末におえない。
 寄せワンは、減速した体力と飛距離を認めたうえでスコアを維持するエージシューターの知恵だ。年々、衰える心技体を維持しながらスコアを維持するエージシュートは高齢化社会のテーマ、アンチエイジング対策。田中さんはその渦中で工夫をし次々とこなしている。

 

 今年、2017年4月のマスターズトーナメントは、スペインのセルヒオ・ガルシアが優勝した。優勝スコアは9アンダーと伸びなかった。例年の20アンダー近いロースコアが信じられないハイスコアに選手の苦労がにじみ出た。グリーンが堅くショットは止まらず鏡のような高速でパットが選手を苦しめた。春のゴルフは難しい。芝が薄く風も冷たい。グリーンだけでなく堅さが難敵。桜の季節からゴールデンウイーク明けくらいまで、日本でも苦労する。
 2017年4月17日、田中さんのエージシュートは192回になった。昨年177回、年が明け4か月で15回。すごいペースである。
 だが、田中さんのペースとしては”足踏み”だった。例年、5月ごろまでは調子が上がらないが、今年は少なかった。関東周辺のグリーンの堅さもマスターズを彷彿とさせ乾いて止まらず、傾斜に切られたショートパットは三日月のようにカーブした。今年に入って田中さん、たったの15回しかエージシュートを記録していないのはそのせいだ。
 「たったの15回しか」と言えることに驚いている。

上げてよし、転がして絶妙のアプローチ

上げてよし、転がして絶妙のアプローチ

 

 さて、100ヤード以内のショットを磨くとゴルフが変わったというテーマ。パー4はバーディー逃しのパーも寄せワンも同じ4。そうやってゴルフが粘り強くなりましたね。長いパー4でグリーン周りに打っておけばいいと気楽にやると面白いものでティーショットが飛び、2打目のミスも減り安定するからパーの確率が高くなった。それだけではありません。ゆとりが生まれ、そんなタフなホールでもバーディーが転がり込んでくることが時々ある。気楽にやるとうまくいくことがあるのがゴルフだが、そういうことも前より多くなったようです。ゴルフっておもしろいゲームですよ」

 

 100ヤード以内のショット。特にグリーン周りと50,60ヤードの田中式アプローチだ。結論を先に言うと、なんであんなにうまくいくのかわからない。それほど田中さんのアプローチはうまい。パターを使ったアプローチに徹することは紹介したが、転がしだけではない。サンドウエッジでのあげる、主にピッチエンドランなどはプロ並みだ。いや、状況によってはプロ以上の輝きと驚きのテクニックだ。

 

 ◆田中 菊雄(たなか・きくお) 1935年3月3日、島根・松江市生まれ。82歳。神奈川・川崎市を拠点にリフォーム、食品など5社、社員400人を抱える「北山グループ」取締役会長。東京・よみうりGCなど4コース所属、ハンデ5。初エージシュートは06年8月、71歳のとき静岡・富士国際富士コースを70で回った。173センチ、65キロ。

武藤 一彦(むとう・かずひこ)
ゴルフジャーナリスト。コラムニスト、テレビ解説者。報知新聞には1964年入社、運動部に所属、東京オリンピックはじめボクシング、ゴルフ、陸上担当。編集委員、専属評論家も務めた、入社以来50年、原稿掲載の”記録”を現在、更新中。
日本ゴルフ協会広報参与、日本プロゴルフ協会理事を経て日本プロゴルフ殿堂表彰選考委員、日本ゴルフ振興協会広報メディア委員、夏泊ゴルフリンクス理事を務める。

ゴルフは4メジャーのほか、ワールドカップなど取材、全英オープンは1975年から取材し日本人記者のパイオニア的存在。青木功のハワイアンオープン優勝にも立ち会った。1939年生まれ。東京都出身、立大出。

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