佐久間朱莉、オフに師匠ジャンボ邸で金言授かり首位発進 今年こそ初V「本当に勝ちにきている」


13番、咲き誇る桜を背にティーショットを放つ佐久間朱莉(カメラ・安藤 篤志)

13番、咲き誇る桜を背にティーショットを放つ佐久間朱莉(カメラ・安藤 篤志)

◆女子プロゴルフツアー 富士フイルム・スタジオアリス女子オープン 第1日(5日、埼玉・石坂GC=6535ヤード、パー72)

 ツアー本格参戦3年目で地元・埼玉出身の佐久間朱莉(しゅり、21)=大東建託=が6バーディー、1ボギーの67で回り、5アンダーで首位で発進した。国内男子ツアー歴代最多94勝の尾崎将司(77)率いるジャンボ軍団の一員は「今年は勝ちにこだわる」と決心。昨年、トップ3以上を4回マークしたが、初優勝に届かなかった悔しさを今大会で晴らす。2年前の覇者、上田桃子(37)=ZOZO=が首位に並んだ。

 雨の中でも関係ない。佐久間は慣れ親しんだ“ホーム”で得意のショット力を発揮した。1番で1メートル、2番で3メートルにつけて連続バーディー発進。前半だけで5バーディーを奪い「今日は完璧と言っていいくらいショットが良かった」と21歳はにっこり笑った。

 自宅のある川越市からコースまでは車で20~30分の距離。大会前は母・美樹子さんにリクエストした手料理のカレーでパワーを蓄えた。「自分の部屋のベッドで眠れるのもいい」と地の利を生かす。石坂GCは中学時代に週1ペースで練習しており、熟知している。「狭いスポットを狙って打つショットは、プロになっても生きている」と胸を張った。

 昨季はトップ3以上が4回あったが初優勝には届かなかった。オフの今年1月24日に転機があった。師匠の尾崎将司が77歳の誕生日を迎え、健夫(70)、直道(67)の尾崎3兄弟が、千葉にあるジャンボ邸に集結した。その席で「お前は勝ちにこだわれ。ゴルフがうまくても勝てないんだぞ」と健夫を中心に佐久間に熱弁を振るい、ジャンボはその様子にうなずき、同調していたという。「これまでは『勝てたらいいな』だったが、今年は勝ちにこだわる」と気持ちに変化が生じた。

 今季は開幕戦と前週がともに7位。昨年3月以来、ツアー2度目の首位発進だ。2002年生まれの優勝者は、同じ埼玉出身の岩井姉妹(明愛3勝、千怜5勝)だけで、同世代3人目のツアー覇者へ「いい滑り出しができた」と手応えを口にした。偉大な師匠たちの“金言”を胸に「今年からは本当に勝ちにきている」と、「勝ち」の言葉を繰り返した。まだ見ぬ頂点は地元でつかみ取る。(岩原 正幸)

 ◆佐久間 朱莉(さくま・しゅり)2002年12月11日、埼玉・川越市生まれ。21歳。父の影響で3歳からゴルフを始める。19年の日本ジュニアで2位に入り、翌年にアマ日本代表。21年に埼玉平成高を卒業し、プロテストにトップ合格。同11月に下部ツアー優勝。22年はトップ10入り3度を含むメルセデス・ランク33位で初シード。得意クラブはアイアン。155センチ。家族は両親と兄。

 ◆ジャンボ軍団 尾崎将司を筆頭に弟の健夫、直道や飯合肇、川岸良兼、金子柱憲らがいる。女子では原英莉花、西郷真央、笹生優花、佐久間朱莉、小林夢果らがツアーで活躍している。近年の男子では、前週の男子開幕戦・東建ホームメイトカップで4位のアマチュア・中野麟太朗(早大3年)、3月に最年少プロ転向した15歳の香川友(とも)ら教え子がいる。

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