
プロ転向1年を前に取材に応じた男子ゴルフで16歳の香川友
16歳の男子プロゴルファーの香川友(とも)が、昨年3月に史上最年少の15歳7か月13日でプロ転向してから13日で丸1年を迎えた。国内ツアー最多94勝の尾崎将司に師事し、飛距離320ヤードを誇るドライバーショットなどを強化。このほどスポーツ報知の単独インタビューに応じ、プロ1年目の収穫や今後の野望などを語った。(取材・構成=星野 浩司)
中学を卒業した昨年3月13日。史上最年少の15歳でプロ転向し、丸1年がたった。
「楽しい1年だった。昨年、一番成績が良かったのはQT(予選会)ファイナルまでいけたこと。今年は(下部の)チャレンジツアー全試合に出られるので、(レギュラー)ツアーも少しずつ出ながら上位にいきたい」
プロ1年目を「80点」と自己採点した。
「ウェッジなどいろんな技がまだできない。セカンドショットでグリーンを外したところをちゃんと2打でしのぐことができなかった。100%近くしのげるようにしたいし、ショットやパターを含めて全体的に良くしていきたい」
幼少期から父親が経営する千葉・野田市のゴルフ練習場で技術を磨き、中学3年だった昨年2月に尾崎が主宰する「ジャンボアカデミー」のセレクションに合格。レジェンドの下、スキルを高めてきた。
「最初に『お願いします。将来は世界一になります!』と伝えたら、ジャンボさんが『よし、やってやろうか!』と。去年は10日に1回くらい千葉のジャンボさんのところに通った。一緒に食事することも多くて、野球が好きなジャンボさんはテレビで大谷翔平とかメジャーリーグの試合を見てる。帽子も『LA』でしたね(笑い)。スイングを直接見てくれて、わかりやすく優しく教えてくれる。『低いフ�\xA7ードでつかまる球を打とう』と、左手の肘を曲げずにフォローを長く出すようにアドバイスされた。ボールが生きているような球を打つように練習しています」
ジャンボ直伝のタイヤ引きや、特製の素振り棒などで基礎を強化した。
「朝は9時から昼まで体力トレーニングを中心にやって、食事して1時間くらい休んで、午後はボールを打つメニューを中心に夕方6時まで練習する。砂場でタイヤをゆっくり引きながら歩くトレーニングは下半身が鍛えられる。ゆっくり負担をかけることで全体的に筋肉がつくから良い。羽がついた素振り棒を重いタイプと軽いタイプを交互に振ったり、ヘッドスピードは(秒速)50メートルから53メートルくらいまで伸びた」
昨年は7月に「長嶋茂雄招待セガサミーカップ」のマンデートーナメントを経験するなど、国内男子下部のチャレンジツアーを中心に約10試合に出場。最大の武器である飛距離は、さらに自信がついた。
「飛距離は20~30ヤード伸びて、今はキャリーで300ヤード、ランを入れて320~330ヤードくらい。(各大会で)思ったより自分が飛距離で上位に入っていたので自信になった。今はいろんなクラブを振って、ヘッドの形状や打感、シャフトの硬さとかを試してる。前よりつかまるフェードを打つように練習してる。もっと飛ばしたいし、プロはみんなブレない球を打つので、それでスコアがだいぶ変わる」
昨年9月には欧州(DPワールド)ツアー出場権を争う1次予選会(フランス・ルーアン)に挑戦した。
「欧州は初めてで、想像と全然違ってビックリした。グリーンの上に水がたまってもプレーする。ヘドロみたいなぬかるんだコースで、日本ではやらないような環境で打ち方も違う。100人くらい出場していて、アジア人は僕1人。他の選手は環境に慣れていて打ち方も変えている中、僕の成績は全然ダメだった。環境が全然違う中でプレーするのは勉強になった」
10月にACN選手権でレギュラーツアーデビューした。結果は79位で予選通過はならなかったが、初日のドライバー飛距離は296・78ヤードで110人中17位。大器の片りんを見せた。
「楽しかった。緊張せずに、雰囲気に慣れることができた。アマチュアでもプロでもやることは同じ。自分の中ではやっていける感じではあったので、手応えはつかんだ」
身長は177センチ、体重は110キロ。恵まれた体格はさらにたくましさを増した。
「今はたくさん食べて、身長を伸ばしていきたい。試合前や試合期間は牛肉や豚肉を食べる。ステーキなら500グラム、野菜もいっぱい、ライス2杯は食べます。メーカーの洋服のサイズがなかなか合わないですね。身長が止まったら筋力トレーニングをしていきたい」
アスリートとして理想を追求する香川。好きな選手を問われると、ゴルフ界の世界的レジェンドであるフィル・ミケルソンに加え、意外な名前を口にした。
「大谷翔平選手! 僕は野球が好きなので、憧れます。全部のスポーツで世界一のような存在が日本人っていうのはすごい。あと、(ボクシング元世界王者の)マイク・タイソンも好きです。やっぱり強いし、一番すごい人が好き。そんな人になりたい」
今季はチャレンジツアーを主戦場にしながら、レギュラーツアーの大会に主催者推薦などでの出場を見据える。
「チャレンジツアーに全試合出られるので、1勝を目指したい。将来の目標は世界一。世界ランク1位になりたい。でも、ジャンボさんには『まだ若いんだからゆっくりやりなさい。急がなくていい』『一打一打集中すること』と言われたので、そこを意識していつも通りやっていきたい」
◆香川 友(かがわ・とも)2008年7月31日、千葉県出身。16歳。1歳から父・正宏さんの経営するゴルフ練習場で始める。小6時の20年10月に茨城県内のミニツアーで優勝したプロと同スコアの67でベストアマ。野田一中を卒業した24年3月13日に史上最年少15歳7か月13日でプロ転向。同10月のACNチャンピオンシップでレギュラーツアーデビュー。趣味は海釣り、サーフィン、スケボー、野球。好きな歌手は桑田佳祐。177センチ、110キロ。A型。