女子ゴルフ界に新星 “トミー軍団”中村心、ルーキー一番乗りの初優勝狙う


中村心

中村心

 女子ゴルフで、国内男子ツアー通算48勝を誇る中嶋常幸(70)の門下生が存在感を放っている。プロ1年目の中村心(19)=ヤマエグループHD=がその一人で、4月の富士フイルム・スタジオアリス女子オープンで2位に入るなどパワフルなショットを武器に、今季のルーキー一番乗りの初優勝を狙う。同最多94勝・尾崎将司(78)の“ジャンボ門下生”から優勝者が続々と出る中、中嶋が主宰する「トミーアカデミー」出身の新鋭が旋風を巻き起こしそうだ。(取材・構成=星野 浩司)

 今季メジャー初戦・ワールドレディスサロンパスカップで予選落ちした直後だった。中村は会場で肩を落としていると、高2から師事する中嶋から言葉をかけられたという。「まだ1年目。焦らずにやろう」。さらに構え方やスイングなどの指導を受け、「成績を考えるより、まずは全力でやる」と気持ちを切り替えられた、と明かした。

 世界の舞台でも活躍する日本人女子ゴルファー。中村やサロンパスカップ8位の都玲華(21)、1年目の入谷響(19)らが中嶋に指導を仰いでいる。さらに、尾崎将司を師匠とするジャンボ軍団も快進撃が続く。4月に米メジャーのシェブロン選手権で初優勝した西郷真央(23)、国内ツアーのバンテリンレディスで初優勝した佐久間朱莉(22)らが結果を残している。

 ゴルフ界のレジェンドから技術的な指導を受けることもそうだが、とりわけメンタル状態が結果につながりやすいスポーツで、選手は「道しるべ」を求める流れがある。中村は今季、レギュラーツアー、下部ツアーとほぼ毎週試合に出場。体力的な疲労やメンタルの切り替え、コース対応と苦戦が続くが、中嶋の助言でもある「今は苦しいけど、長いシーズンなので焦らずに頑張る」と繰り返し、ルーキーイヤーを戦う。

 また、今年1月にはプロ野球・ソフトバンクの柳田悠岐らの自主トレにも参加した。ダッシュや素振り、ノックを受けて体を鍛え、「食トレ」も学んだ。「プロで毎週戦い抜くため、体重と筋肉量を増やす」と意識改革し、ご飯はお茶わんからどんぶりへと倍増。今季開幕時の体重は昨夏から9キロ増の61キロ、飛距離は10ヤード増の約250ヤードに増えた。「柳田さんから『初優勝を期待してるよ』と言われた。優勝して報告したい」と意気込んでいる。

 中村はパワフルなショット、高精度のアプローチを武器に、高3の23年日本ジュニア選手権を制覇。昨年のプロテストは2度目の挑戦で合格した、将来を嘱望されるゴルファー。レジェンドの指導を受け、「チャンスがもらえた時はモノにして、初優勝したい」という目標に向かって前進していく。

 ◆中村 心(なかむら・こころ)2005年10月25日、山口県出身。19歳。姉の影響で5歳からゴルフを始める。ECC学園高3年時の23年に日本ジュニア選手権を制覇。24年プロテストは2度目の挑戦で合格。今季開幕時のQTランキングは74位。得意クラブはドライバー、ショートアイアン。文字や箸は左利き、ゴルフは右利き。目標の選手はアタヤ・ティティクル(タイ)。161センチ。家族は両親と姉。

 ○…入谷は愛知出身の19歳ルーキー。今季2位の平均飛距離257・07ヤードを誇る飛ばし屋だ。160センチ、75キロの鍛えた体でパワフルなショットを連発。4月の富士フイルム・スタジオアリス女子オープンで4位など、2戦でトップ10入りと着実に実績を積んでいる。「師匠」と慕う中嶋から強く指導を受けたスイング時のアドレスを徹底。不調やピンチに見舞われても「お前のメンタルを鍛えてくれている」と背中を押され、1年目の初Vを目指す。

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