メジャー初制覇の23歳レフティー「左打ちを背負って頑張りたい」…乗り越えたハンデ 先天性の心臓持病で野球断念


ゴルファー仲間から優勝の祝福で水を浴びせられる細野勇策と江崎楓キャディー(カメラ・馬場 秀則)

ゴルファー仲間から優勝の祝福で水を浴びせられる細野勇策と江崎楓キャディー(カメラ・馬場 秀則)

◆報知新聞社後援 男子プロゴルフツアー メジャー初戦 日本プロ選手権センコーグループカップ 最終日(24日、滋賀・蒲生GC=6991ヤード、パー72)

 左打ちの細野勇策(23)=三共グループ=が1イーグル、3バーディー、3ボギーの70で回って通算15アンダーで逃げ切り、メジャー大会でツアー初優勝を飾った。日本ツアーでの日本勢のレフティーVは羽川豊以来2人目で、1991年ダイドードリンコ静岡オープン以来35年ぶり。自身9度目の最終日最終組で壁を突破し、5年シードを獲得した。

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 涙はなかった。ウィニングパットを沈めた細野は、控えめに左拳を握った。「もう少し感情が動くかなと思ったけど、そんな余裕もなかった。1ホール1ホール必死にゴルフをしていたら、もう終わっていた」。ティーショットに苦しみながら2打差で振り切った。メジャーの舞台で手にした初優勝を、静かにかみしめた。

 9度目の最終日最終組で殻を破った。昨年のロピアフジサンケイクラシックはトップと2打差で迎えた16番パー3で池に4発入れて「11」をたたき、21位に沈んだ。今年の中日クラウンズも17番のボギーで1打及ばず2位だった。この日も終盤に試練が訪れた。15番で第1打を左崖下に曲げた。「またか…」。悪夢が脳裏をよぎった。「上を狙っていちかばちか」放った152ヤードの第2打は、木を越えフェアウェーへ。1メートルに寄せてパーをセーブした。

 男子ツアーで、日本勢史上2人目のレフティーV。ツアーデビューした2022年から優勝争いの度に「日本勢では羽川豊以来」と騒がれてきた。「早く止めないとなと思っていた。35(年)で止まって良かった」と満面の笑みを浮かべた。左打ちのジュニア用のクラブが少なく、小学時代は女性用のクラブを切って使った。「自分が活躍して、練習場の左用の打席が少しでも増えてくれたらいいなとずっと思っていた。左打ちを背負って、これからも頑張りたい」

 先天性の心臓の持病で生後2か月で手術をした。激しい運動は制限されたため、野球を断念し6歳からゴルフを始めた。「野球は今でも好きだしやってみたかったなとは思うけど、この体格ではなかなか。今となってはゴルフで良かった」。体育の授業でプールに入るのにも医師の診断が必要だった少年は、177センチのレフティーに成長。志を捨てず、努力を重ね、メジャーチャンピオンになった。(高木 恵)

 ◆世界の主な左打ち選手 世界最高峰の米男子ツアーでは、2003年にマイク・ウェア(カナダ)がマスターズを左打ち選手で初制覇。フィル・ミケルソン(米国)は04、06、10年とマスターズで3度勝ち、05、21年全米プロ選手権、13年の全英オープンも優勝。12、14年のマスターズを勝ったバッバ・ワトソン(米国)らも有名。

 ◆細野 勇策(ほその・ゆうさく)2003年1月9日、山口・山陽小野田市生まれ。23歳。ルネサンス大阪高出身。生後2か月のときに心臓に先天性の病気が見つかり手術。野球を諦め6歳でゴルフを始めた。小学6年時に全国小学校選手権で優勝。21年にプロテスト合格、22年にツアーデビュー。昨年の賞金ランキングは19位。趣味は「ゴルフ」で、好きな食べ物は「焼き肉」。177センチ、74キロ。血液型O。

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