松山に世界が驚き!隣ホールからバーディー、練習Rで考案“裏ルート”


1番のフェアウェーから7番グリーンへ第2打を放つ松山英樹

 ◆男子プロゴルフ ISPSハンダ・ワールドカップ第2日(25日、オーストラリア・キングストンヒースGC)

 【メルボルン(豪州)25日=浜田洋平】2日目は各自のボールをプレーし、良い方のスコアを記録するフォアボールで行われ、松山英樹(24)=LEXUS=と石川遼(25)=カシオ=の日本は7バーディー、ボギーなしの65で回り、通算6アンダーで首位と6打差ながら8位に浮上した。松山は7番の第1打で隣にある1番のフェアウェーを狙う奇策を披露してバーディー。逆転Vへ可能性を残した。12アンダーのデンマークが単独首位。

 温めていた奇策で世界を驚かせた。7番の第1打。松山は顔に群がるハエが気になり、構えを解いた。その後に放った球は、右隣にある1番のフェアウェーへ。平然とする怪物に外国人ギャラリーは「Why!?」と驚きの声を上げた。ところが、残り170ヤードからの第2打をピン奥3メートルに乗せてバーディー。石川の第2打はグリーン右の草むらに入ってボギーになりそうだった。「遼がピンチになったところで、しっかりバーディーが取れてよかった」。拳を握りしめ、そのまま石川とグータッチを交わした。

 奇策の“裏ルート”は、コース入りした18日の練習ラウンドから石川と考えていた。フェアウェーが狭く、落としどころの両サイドがバンカーに挟まれた難コース。日本が後半スタートで1番を回る組がいなかったことも味方した。ピンが左サイドにあり、より1番からの方が狙いやすい。プロでも珍しい作戦が成功し、応援に駆けつけた松山の母校・東北福祉大ゴルフ部の阿部靖彦監督(54)も「面白いことするやつだな」とビックリ。同じ第1打をフェアウェー右に置いた石川は「あれはすごかったね。僕も狙ったんですけど」と目を丸くした。

 23日のプロアマ戦でも試したが、1番のフェアウェーを越え、右のラフに入れてボギーとした。わずか2日で修正するのも世界ランク6位の実力だ。11番では残り13ヤードからチップインバーディー。「日本代表として来ている。プレッシャーがないわけがない」。上着の左肩に縫い付けた日の丸は、責任感の証しだ。

 首位と6打差だが、3日目の1つのボールを交互に打つフォアサムでは、上位が崩れる可能性は十分。「自分たちの力を最大限に出せば逆転は可能。頼りになるゴルフをしたい」。上り調子となった日本のエースが、世界一へ導く。(浜田 洋平)

 ◆過去の主な“裏ルート”

 ▼岡本綾子(93年日本女子ツアー、明治乳業カップ第2日=宮崎・青島GC)。最難関の6番パー4で池の右にある2番へ第1打を打ち、パーで切り抜ける。後に“岡本ルート”と呼ばれる。

 ▼平塚哲二(03年日本シリーズJTカップ最終日=東京よみうりCC)5番パー4で、左の崖下から第2打を隣の4番へ。第3打を寄せてパーセーブ。ツアー初優勝をかなえた。

 ▼宮本勝昌(10年日本ツアー選手権シティバンク杯最終日=茨城・宍戸ヒルズCC)首位独走の15番パー5、第1打を左に曲げ、第2打は隣の17番のフェアウェーに出しただけ。第3打は17番を“逆走”した。第4打は16番の池の脇へ。3ホールをまたいだ末、5オン。辛うじてダブルボギーで逃げ切った。

 ◆W杯の大会方式 4日間を通じて、ダブルスによる団体戦。3日目は1つのボールを交互に打つフォアサム。最終日は各自のボールをプレーし、良い方のスコアを記録するフォアボールを採用する。

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