◆男子プロゴルフ ISPSハンダ・ワールドカップ第3日(26日、豪州・キングストンヒースGC、7111ヤード=パー72)
【メルボルン(豪州)26日=浜田洋平】3日目は初日と同じく1つのボールを交互に打つフォアサムで行われ、8位で出た松山英樹(24)=LEXUS=と石川遼(25)=カシオ=の日本は4バーディー、3ボギーの71で回り、通算7アンダー。初日から、打つ順番を入れ替えた作戦がはまって4位に浮上した。首位のデンマークとは7打差だが、各自のボールをプレーし、良い方のスコアを記録するフォアボールで行われる最終日に大爆発して逆転Vを狙う。
誰も諦めていない。首位と10打差の9位で迎えた13番。松山が残り35ヤードを2メートルに寄せて、石川がバーディーパットを沈めた。「GO! JAPAN!」。奇跡を信じる日本人ギャラリーが叫んだ。14番でも松山が残り35ヤードから寄せ、石川が決めて連続バーディー。「英樹が完璧なアプローチでのせてくれた」と石川。日本ゴルフ界を背負う同級生コンビが、歯を食いしばって4位に浮上した。
17日の豪州入り後、お互いのチームが合同で食事会を連日開催。前夜はすき焼きを頬張りながら、恒例の作戦会議を開いた。議題は初日に73で出遅れたフォアサムの攻略法だった。石川は、松山の世界に誇るアイアンショットと好調な自身のパットを生かすため、奇数ホールの第1打を自分が打つことを提案。そうすれば松山がピンを狙う場面が増え、それを石川が沈めてバーディーを量産できる。初日と逆の打順にする考えだった。
だが、パットの調子が悪い松山は「俺は反対だった。パーパットを打ちたくない」と意見が食い違った。この打順だと、ボギーの重圧がかかるパーパットを松山が打つ場面が多くなる。「自分の状態を思って言ったけど、わがままを言っても仕方ない」と最後は松山が折れ、打順変更に踏み切った。
スタート直前まで不安を抱えていたが、石川が「『腹をくくって頑張るわ』って感じに見えた」と驚くほどの気迫でピンを攻め、4バーディーはすべて作戦がはまった。初日の4バーディーも松山がピンそばに寄せて石川が沈めたもの。大会中に完成した必勝パターンが優勝の望みをつないだ。
デンマークはスコアの伸びやすい2日目のフォアボールで独走態勢を敷いた。7打差逆転に向け「攻めていく」と石川が言えば、松山も「優勝を目指しているので、通算20アンダー以上が必要。50台を目指して頑張りたい」。14年ぶり3度目の栄冠へ。若き黄金ペアが、捨て身の攻撃ゴルフで世界一を奪う。