◆米男子プロゴルフツアー メジャー初戦 マスターズ第1日(6日、米ジョージア州オーガスタナショナルGC、7435ヤード=パー72)
【オーガスタ(米ジョージア州)6日=榎本友一】世界ランク4位の松山英樹(25)=LEXUS=は1バーディー、3ボギー、1ダブルボギーの4オーバー、76で首位に11打差の54位と出遅れた。強風の影響もあり全体91位の計35パットと苦戦。生命線のショットは復調気配で、メジャー初制覇へ反撃を誓った。日本ツアー賞金王・池田勇太(31)=フリー=は2オーバーの26位、谷原秀人(38)=国際スポーツ振興協会=は4オーバーの54位。米ツアー4勝のチャーリー・ホフマン(40)=米国=が7アンダー、65で単独首位。
日本男子悲願のメジャー制覇への道は険しかった。朝から時速約24キロの強く、冷たい強風が吹き荒れた。まるで全英オープンのような舞台。日本中の期待を背負う松山は、朝方まで降り続いた雨で軟らかいはずの超高速グリーンの乾き具合にほんろうされた。4オーバーの54位。6度目の出場で、ともに初日自己2番目に悪い数字に「決めたいパットがなかなか決まってくれないような、もどかしい一日だったかなと思う」と唇をかんだ。
開幕前日を含め2日間、雷雨でコースが閉鎖され、マスターズ週では初めて2日間もクラブを握れなかった。ショットの不調を明かしていた日本の怪物は、状態を戻せないままティーオフを迎えた。強風と寒さで距離感も狂い、クラブを持ち替える場面が目立った。
ミスの連鎖も響いた。7番はドライバーで左の林へ曲げた。第2打は52度のウェッジでフックをかけて強引にグリーンを狙い、右奥の観衆へ打ち込んだ。続くアプローチは木に当たって右手前20メートルのエッジに落ちた。3回パターで打ってダブルボギー。チャンスホールの8番でも3パットで痛恨のボギーをたたいた。13番は3パットのパー、16番は3パットのボギーでパトロン(観客)からため息が漏れた。
過去80度のマスターズで、11打差を逆転した例はない。第1ラウンド終了時からの最大逆転Vは90年のニック・ファルド(英国)、05年のタイガー・ウッズ(米国)の7打差だ。優勝者の第1ラウンドは75がワースト記録。76の松山は「納得はできないが、切り替えてやっていけたらいい」と前を向いたが、オーバーパー発進からの優勝は近年、数えるほどしかない。
とはいえ、4年連続6度目出場の経験を生かしてパーオン率77・78%は全体2位。世界ランク4位の底力を示した。松山は「(差は)大きいけど、いいプレーができればまだチャンスはある。内容的にはそんなに悪くはない。しっかり伸ばしていけるように準備したい」と練習場へ直行した。大会史上最も強い風が吹き荒れた昨年7位に入った実績もあり、パットさえかみ合えば歴史的逆転劇を演じる可能性も残っている。