ガルシア、史上最スローの19度目出場で初優勝「本当に長い時間かかった」


 ◆米男子プロゴルフツアー海外メジャー初戦 マスターズ 最終日(9日、米ジョージア州オーガスタナショナルGC、7435ヤード=パー72)

 【オーガスタ(米ジョージア州)9日=榎本友一】28位で出た松山英樹(25)=LEXUS=は7バーディー、2ボギーでこの日のベストスコアに並ぶ67をマーク。通算1アンダーの11位で日本男子悲願のメジャー初制覇は逃したが、来年大会の出場権を獲得した。セルヒオ・ガルシア(37)=スペイン=が9アンダーで並んだ、リオ五輪金メダルで2013年全米オープン覇者ジャスティン・ローズ(36)=英国=とのプレーオフ(PO)を1ホール目で制し、通算74戦目でメジャー初制覇を達成した。

 夕暮れの夢舞台で、プロ19年目を迎えた“神の子”が初のメジャータイトルを勝ち取った。74度目のメジャーに挑んだガルシアは、PO1ホール目にバーディーで激闘を終わらせた。「何と言っていいか分からない…。本当に長い時間がかかった」。マスターズ史上、最も遅い19度目の出場で初V。苦闘を知る観客は喝采で祝福した。37歳は両拳を握り、雄たけびを上げてしゃがみ込んだ。

 ライダーカップの欧州チームの同僚で「良き友」というローズと最終日最終組で一騎打ち。1打を追う15番、残り190ヤードの第2打をピンに絡め、4メートルのイーグルパットを決めた。18番で決めれば優勝のパットを外したが、POで再び臨んだ18番では3・5メートルのパットを一発でねじ込んだ。「メジャーの日曜日に、こんなに落ち着いてプレーしたことはない」。今大会唯一、4日間ともアンダーパー。誇らしげにグリーンジャケットに袖を通した。

 アマチュア時代から有名で、19歳の1999年に全米プロでタイガー・ウッズ(米国)と優勝争いを演じ、2位に入って「神の子」と呼ばれた。99年のプロ転向後、6月の全米オープンを欠場したものの、7月の全英オープンから4大メジャーは皆勤を続けている。2007年全英オープンはPOの末に2位、04年のマスターズは4位。メジャーでは過去5位以内が12度ありながら、頂点の風景は見られなかった。

 POに勝ち、グリーン上で待つ元テレビリポーターのアンジェラ・エーキンスさんと抱き合った。過去にはプレーの遅さ、感情の起伏の激しさなどを指摘されたが、婚約者を得て「精神的にも落ち着いている」という。7月の結婚式を控え、プレーに安定感が増した。

 スペイン勢のマスターズ制覇は80、83年のセべ・バレステロスと94、99年のホセマリア・オラサバルに次いで3人目。この日は11年にがん性脳腫瘍の合併症で亡くなった母国の英雄、バレステロス(享年54)の誕生日だった。ガルシアは「セベの60歳の誕生日に勝てた。こんなにうれしいことはない」と憧れの人をしのび、感慨に浸った。

 ◆セルヒオ・ガルシア 1980年1月9日、スペイン・カステロン生まれ。37歳。レッスンプロだった父の影響で3歳でゴルフを始める。95年の欧州アマを最年少で優勝。99年にプロ転向し、米ツアー通算10勝、欧州ツアー通算12勝。99年のマスターズで38位となり、ローアマを獲得。ローアマ獲得者の優勝は大会史上5人目となった。「エルニーニョ(神の子)」の異名を持つ。178センチ、80キロ。

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