◆米男子プロゴルフツアー 今季メジャー最終戦 第99回全米プロ選手権第3日(12日、米クウェイルホローC、7600ヤード=パー71)
【シャーロット(米ノースカロライナ州)12日=岩原正幸】首位から出た松山英樹(25)=LEXUS=は1バーディー、3ボギーの73で通算6アンダーの2位に後退したが、首位と1打差に踏みとどまり日本男子初のメジャー制覇に望みをつないだ。ショットに精彩を欠くもメジャー初となる最終組の重圧の中、暑さと長時間ラウンドに耐えた。首位は7アンダーのケビン・キズナー(33)=米国=。小平智(27)=Admiral=はベストスコア67で18位に浮上した。
したたり落ちる汗が止まらない。メジャー初の最終組で、午前スタート組より1時間以上も長い5時間40分のラウンドを終えた松山は、両手を柵についてもたれかかった。「終わってみれば1打差? そうですね。助かりました」。前半から何度も帽子を取ってタオルで頭を拭く場面が目立ち、表情は一層険しかった。
気温31度、湿度70%。直射日光に加え、前日に降った大雨の影響で水を含んだ芝生からの熱気が体力を奪った。約1500人の観衆が左サイドの仮設テラスやグリーン周りを囲む1番でボギー発進して2位に後退すると、7番パー5では5メートル半のイーグルチャンスを逃し、首を振って悔しさをあらわにした。
ともにメジャー初Vを狙うキズナーとの消耗戦。先に後退したのは松山だった。12番で4オン1パット。13番もティーショット後にクラブから手を放し、納得いかない表情を浮かべて連続ボギー。「(ショットの)違和感が思い切り出てしまった」。パーオン率55・56%は75人中64位と低迷した。
だが、首位のキズナーを4打差で追う16~18番の難所「グリーンマイル(死刑台への道)」で息を吹き返した。キズナーは16番で第2打を池に入れるダブルボギーなど3ホールで3つ落とした。全てパーでしのぎ1打差2位に踏みとどまった松山は「(最後)パー、パー、パーで終われて良かった」と胸をなで下ろした。
メジャー3日目を終えて首位に立った日本人は1980年全米オープン(2位)の青木功だけ。自身の過去メジャー20戦で順位、首位との差とも最高位につけた松山は、今季ツアーの最終日平均スコア(68・64)は全体2位と爆発力がある。6打差以内に15人がひしめく混戦だが、4位のウェストヘーゼン(南アフリカ、10年全英オープンV)以外全員がメジャー未勝利だ。
「プレー内容に不満があって気持ちは下がるけど、1打差はテンションが上がる。最後の3ホール、面白い位置にいられたら」。疲れた体にムチを打ち、逆転を期して誰もいなくなったパット練習場で最後の調整に励んだ。日本中の夢を乗せて、最後の18ホールに全力を尽くす。