【鈴木が試した】「ザ・ロイヤル ゴルフクラブ」(2017.7.4)


 「全日本クラブチャンピオンズ 第56回報知アマゴルフ選手権」(報知アマ)が7月26日から3日間、茨城・鉾田市の「ザ・ロイヤル ゴルフクラブ」で行われる。クラチャン日本一を決める今年の舞台は、日本最長8000ヤードを超えるモンスターコース。監修の鈴木規夫プロ(65)の視察にくっついて、めっきり飛距離の衰えたシニア記者が挑戦してみた。

 

 ◆池&バンカー巨大
 前身のザ・ロイヤルオーシャンも長くて有名だった。が、正直言うと広いだけで印象に残るようなレイアウトではなかった。それが久しぶりに来てみると、ダブルグリーンが1グリーンに、真っ平らな地形は大きくうねっている。巨大な池とバンカー。「日本のゴルフが成長しないのは、コースにも問題がある」と鈴木プロ。長さだけではない、文字通り「全てが世界基準」のコースが出来上がった。

 

 10番から出た。フルバックは辞退して、報知アマディスタンス。右ドッグの397ヤードが短く感じるからすごい。
 鈴木プロ「ここはグリーン入り口の幅は最小の6ヤード。とにかく上から攻める。キーホールだね」
 11番グリーンは左傾斜が強い。「左ピンでも右へ打つこと」というプロのアドバイスに従ってパーを拾う。これで油断したのか、続く12番で罠(わな)にはまった。緩い右ドッグで左へ打ちたくなるが「ここは左ラフが罠なんだよ」とプロ。セカンド地点に行ってみると、左手前の池は目に入るが、実はグリーン右にも池があるという。見えにくい右を警戒したユーティリティー(U)のセカンドは、左のバンカーへ。この砂が独特の軟らかさで、1回で出ない。さらに3パットしてトリプル。ドライバーがナイスショットしてのトリはヘコむ。「砂が難しいだろ?」としてやったりの鈴木プロ。憎たらしい。

 

 「13番はチャンスホール。ティーショットが成功すれば、飛ばし屋なら2オンあるよ」「15番の右サイドは230ヤード先から池。でも、左は大ケヤキで真っすぐ打てないから、右に刻むのも一つの選択」。プロの解説は続く。
 次の16番がこのコースの目玉、705ヤードのパー5だ。強烈なフォローのおかげでドライバー、Uとナイスショットが出たが、3打目は210ヤード残った。これも何とかうまく打てたが、グリーンに行ってみて驚いた。中央に1・2メートルの段差。真ん中がかまぼこ状なのだ。ピンはチャレンジツアー最終日のまま、頂上に切ってある。上り切らないと下まで逆戻り。打ち過ぎると反対の崖下へ。あれやこれやでなんと、6パット。トホホ。

 

 ◆16番のピン位置プロ仕様で苦戦
 前日まで男子のチャレンジツアーが開催されていたため、この日のピン位置は最終日のまま。705ヤードパー5の16番では、グリーン上で行ったり来たりを繰り返す我々を見て、「このカップは(報知アマでは)やめとく?」と鈴木プロ。ちなみに、チャレンジ最終日では一人だけバーディーを奪ったプロがいた。40ヤードの3打目をピタリと止めたというから、プロはさすがにすごい。

 

 ◆細部まで上質な目配り
 ザ・ロイヤルは母体の日本カバヤ・オハヨーホールディングスが「とにかく本物のゴルフ場を」という思いでつくっただけに、全てが豪華だ。350ヤードのドライビングレンジ、アプローチエリア。ランニングコースやスポーツトレーニングの第一人者・廣戸聡一氏の「廣戸道場」など練習施設も充実。クラブハウスの寄せ木張りの床、練習場で手渡しされるタイトリストのニューボール。スコアカードの鉛筆が消しゴム付きの特注なのには思わずニヤリとした。決して華美ではないが、上質な目配りが細部まで行き届いている。

 

 どのホール一つとっても、平凡なレイアウトはない。距離が話題だが、グリーン周りの難しさは格別だ。特にバンカーは巨大で、ガードバンカーなのに手前に入るとグリーンまで50ヤード以上あったりする。「それでも、必ずアプローチが利くエリアは作ってあるから。攻めるか守るか、メリハリが大事」とプロ。生意気にアドバイスをさせてもらうなら、下見は絶対に必要だ。全国のクラチャンは世界基準のコースで、どんなゴルフを見せてくれるのか。ちなみに、16番は「決勝は上ピンで!」とお願いしておきました。イヒヒ。どうぞ楽しんでください。(鈴木憲夫)

 

グリーン、フェアウェーともに見事に整備された「ザ・ロイヤル」の6番ホール。白さが際立つバンカーは要注意だ

グリーン、フェアウェーともに見事に整備された「ザ・ロイヤル」の6番ホール。白さが際立つバンカーは要注意だ

ところどころには全米オープンで話題になったフェスキューも。鈴木プロでもウェッジが精いっぱいだ

ところどころには全米オープンで話題になったフェスキューも。鈴木プロでもウェッジが精いっぱいだ


寄せ木張りのクラブハウスなど「ザ・ロイヤル」は細部にまで贅(ぜい)が尽くされている

寄せ木張りのクラブハウスなど「ザ・ロイヤル」は細部にまで贅(ぜい)が尽くされている

「ザ・ロイヤル」9番ホールをプレーする鈴木アマ

「ザ・ロイヤル」9番ホールをプレーする鈴木アマ


 

<鈴木規夫>(すずき・のりお)1951年10月12日、香川県生まれ。65歳。72年プロテスト合格。73年のミズノプロ新人で初優勝。74年から九州オープンを5連覇し、歯切れのいいショットとトークで、「九州の若鷹(わかたか)」の異名を取る。76年全英オープンでは初日に首位に立つなど、日本人最高位の10位となった。国内では太平洋クラブマスターズ2連覇を含む16勝。オハヨー乳業所属。

 

◇「ザ・ロイヤル ゴルフクラブ」 茨城県鉾田市にあるゴルフ場「ザ・ロイヤルオーシャン」が全面改修され、日本最長8143ヤードの距離を誇るモンスターコースとして生まれ変わった。コンセプトは世界基準。距離だけでなく、グリーンや練習場など、全てが日本のゴルフを世界レベルに引き上げるためにつくられた。監修・鈴木規夫プロ。来年のミズノオープン開催も決まっている。