男子プロゴルフで今年から国内ツアーに6年ぶりに本格参戦し、史上最年少で選手会長に就任した石川遼(26)=カシオ=の2018年初戦、SMBCシンガポールオープン(18~21日、セントーサGC)は4アンダー16位に終わった。開幕2日前の16日に首付近を痛める逆風の中、予選ラウンドを首位通過。決勝で失速し「4日間もたなかった」と悔しがったが、「初日、2日目で手応えはあった」と前向きに受け止めた。
昨年は、13年から本格参戦した米ツアーの17―18年シーズンの出場権を失い、10月から日本ツアーに出場したが、将来を見据え大幅なスイング改造に着手したこともあり、国内自己ワーストの5戦連続予選落ちを経験。ようやく7戦目の昨季自身最終戦、カシオワールドオープンで1打差2位と復調の兆しを見せ、今大会でも「ショットはカシオ(ワールド)から同じことを取り組んでいる」と繰り返した。
連日気温30度の温暖なシンガポールで初戦を迎えたこともあるが、ゴルフの状態で昨秋を底とすれば、少しずつ調子が上向いてきた石川の表情は非常に明るかった。現地入りした直後の14日は、キャディー、メーカー担当者らと運動も兼ねて、自転車で、観光名所のマーライオンのあるベイサイドからシンガポールの市街地を回ったという。後に英語での記者会見で「ショッピングモールがあり、まるで日本みたいだった。たくさんの日本の方もいて、(中心地の)オーチャードでは『あっ、石川遼だ』って(笑い)」と明かした。
関係者は「国内だと自転車に乗って街を回る機会はないですからね。いい気分転換になったのでは」と、リラックス効果があったと語る。前述のように開幕前のアクシデントもあったが、これまで取り組んでいたショットの成果が出て、4日間でバーディー数1位(21個)だったことも無関係ではないだろう。
今大会では、開幕前日の公式会見に始まり、ラウンド後の海外メディア向けの質疑応答をすべて英語でこなした。海外に生活しているだけで話せるようになるわけではなく、オープンマインドで積極的にコミュニケーションを図ってきたことは容易に想像できる。
3月から本格的な活動が始まるという選手会長として多忙な日々を送ることになっても、ツアーの顔として結果が求められる中、常に前向きな姿勢で物事に立ち向かう。プロ11年目を迎えた石川遼の“現在地”を紙面を通して伝えたい。(記者コラム ゴルフ担当・岩原 正幸)