◆米男子プロゴルフツアー 第100回全米プロ選手権第1日(9日・米ミズーリ州ベルリーブCC、7316ヤード=パー70)
【セントルイス(米ミズーリ州)9日=岩原正幸】6年連続出場の松山英樹(26)=LEXUS=はショットが安定し、メジャーでは約1年ぶりのボギーなしとなる2アンダー、68で首位と4打差の16位で発進した。メジャー25戦目で、昨年の全英オープンと並ぶ初日自己最少スコアで、全米プロ初日の自己最少スコアを更新した。昨年3打差5位の好相性大会で、フェアウェーキープ率71・43%とティーショットが光り、日本人初のメジャー制覇への期待を抱かせた。
松山が気持ちのギアを一段上げた。後半7番、第1打後に歩きながらサンドイッチをほおばると、8番グリーンでは同組の2位ファウラー(米国)が2連続でスコアを伸ばすのを悔しそうに見つめた。最終9番、ドライバーショットを右に曲げたが、第2打をグリーンに運びパーセーブ。17番、1番を除いてパーを並べ「ここ最近にしては良いプレーができた」と冷静に振り返った。
全体で5人しかいないボギーなし。メジャーでは優勝争いした昨年大会第2R(64で7バーディー、ボギーなし)以来、13Rぶりとなった。今季60・93%で101位と苦戦していたFWキープ率が改善した。「長らくずっと(第1打が)曲がっていたのが、久々にFWに行った。続けられるように」と、同71・43%(36位)にうなずいた。当コースで行われた50歳以上で争う13年全米プロシニアで、アジア人初のメジャー優勝の井戸木鴻樹(56)も「ラフに入れたら“半ペナルティー”(0・5打罰の意)」と警鐘を鳴らしていた。曲げなかったことで、メジャーで初日自己最少に並ぶ68で首位と4打差につけた。
年間王者のポイント争いでも昨年同時期の1位から87位と低迷する。大会前は「自分に期待してないから楽」と話したが、2日間練習を共にした宮里優作(38)は「松山はマイナスに考えず先を見ている」と話す。会場で見守る恩師・東北福祉大ゴルフ部の阿部靖彦監督(56)も「世界トップ20(ランク16位)に入っているんだから何も心配ない」と笑い飛ばした。
スタート前に、阿部監督から冗談めかして「今日は(目標)5アンダー」と厳命を受けると、苦笑いで返したという。それでも本番になると、11番の4メートル、4番の2メートル半のパーパットをねじ込む集中力を発揮。「少しでも良いスコアで回って、上位で終われるように」。昨年は目前で逃し、悔し涙を流したメジャー制覇へ気を引き締めた。
◆松山の全米プロ初日 初出場の13年大会(パー70)は2オーバー72で首位と7打差の74位と出遅れた。14年大会(パー71)はイーブンパー71で54位発進。15年大会(パー72)は2アンダー70で15位。16年大会(パー70)は1アンダー69の21位。優勝争いの末、3打差5位となった17年大会(パー71)は1アンダー70の15位で滑り出した。