◆女子プロゴルフツアー・メジャー第2戦 日本女子プロ選手権 コニカミノルタ杯第1日(6日、富山・小杉CC)
震度7の地震に見舞われた北海道の出身選手が、故郷への思いを胸に奮闘した。北広島市出身の小祝さくら(20)=ニトリ=は5バーディー、ボギーなしの67で首位、苫小牧市出身の菊地絵理香(30)=オンワードホールディングス=は69で13位と好発進。栗山町出身の田村亜矢(21)=大東建託=は家の中が被害を受ける中、126位からの巻き返しを誓った。いずれも家族に被害はなかった。
道内出身の選手たちは、スタート前に地震による悲惨な状況を知りながらプレーを続けた。首位の小祝は地震発生直後の午前3時半に起床。帯同する母・ひとみさん(38)が北広島市に住む祖母に連絡を入れて家族の無事を確認した。「台風で(札幌市内の)ホームコースの木が倒れたりして、それからの被害なので心配です」と神妙に話した。
母が経営する札幌市内の飲食店ではボトルが倒れ「(床が)グチャグチャになっている。まずは信号が復旧しないとどこにも行けない」(母)という状況だ。小祝は「北海道は高校まで過ごした場所で、引退したらまた住みたい」と地元への愛着を口にし、一日も早い復旧を願った。
69と好発進した菊地は震源に近い苫小牧市生まれ。起床後すぐ、震度6弱に見舞われた千歳市の実家に住む父・克弥さん(54)に電話をかけた。「実家は大丈夫だったけど、停電が長引いているようで、どうなるか。(父は)本当に驚いていた」と気遣った。その上で「何ができるかと言われると何もできないに等しいので、まずはゴルフを頑張って結果を出すこと」と力を込めた。
栗山町出身の田村は78と出遅れた。母、弟が住む実家は建物に被害はなかったが、父・文則さん(62)によると「ガラスが割れて棚が倒れて中はめちゃくちゃ」という。札幌市内に住む姉によると、水や懐中電灯を求めてスーパーには2~3時間待ちの列ができているという。
福島・富岡中1年時に東日本大震災で被災し、栗山町に戻った経験を持つ田村は「(被害が)長く続くと思うと不安です。短時間でこんなに崩れてしまうんだと、信じられない気持ち」と故郷を思いやった。今できるのはメジャーの大舞台で結果を出すこと。「家族や北海道の方に元気なニュースを届けるためにも頑張りたい」と前を向いた。(岩原 正幸)
◆道内在住13人被害報告なし 日本女子プロゴルフ協会は13人の道内在住の会員に安否確認のメールを送信した。この日時点で被害報告はないという。ニトリレディスが開催されている小樽CCは、ライフラインが止まっているため営業はしていない。下部ツアーが行われている勇払郡の早来CCでは、直前の台風の影響もあり一部修復作業が必要となっている。選手会でミーティング委員長を務める比嘉真美子は今後の支援について「いい形があれば考えたい」と話した。