◆女子プロゴルフツアー 富士通レディース最終日(20日、千葉・東急セブンハンドレッドC西C=6675ヤード、パー72)
1打差の2位から出たアマチュアの古江彩佳(19)=兵庫・滝川二高卒=が6バーディー、1ボギーの67をマークし、通算17アンダーで逆転優勝した。アマの優勝は宮里藍さんらに続く史上7人目の快挙。11月に最終プロテストを控えていたが、免除されプロ転向を即宣言。賞金女王を目標に掲げた。首位スタートの三ケ島かな(23)=ランテック=ら2人が2位。
古江が54ホール目で初のボギーパットを沈め優勝を決めると、この日一番の拍手が起こった。アマ史上7人目のV。しかし本人の表情は変わらない。その直後、グリーン周りで見守った母・ひとみさん(49)が涙ぐむ姿を見ると、うれし涙があふれた。「今までで一番うれしい。緊張はなかった」。小学時代から「プロになってタイガー・ウッズと回るんだ」と語ったアマが、優勝インタビューで「(プロ転向は)します!」と宣言した。
曲がらない正確なショットで14ホール中、13ホールでフェアウェーをキープ。7番で首位の三ケ島に並ぶと、10番で3メートルを沈め、今大会初の単独首位に立った。後半は3つ伸ばして独走し、「後半まで攻められた」とうなずいた。
ひとみさんは全試合同行し、移動は本州ならどこまでも運転手を務める。前夜は二人で勝負飯の「ヒレカツ」を食べに行き大一番に備えた。16年間コーチを務める会社員の父・芳浩さん(50)はこの日、兵庫県内の自宅で留守番。古江は「優勝争いした時に父が来て、優勝できないことが何回かあって…。もう来ないでと言った」。だが「父はゴルフの面で育ててくれた。母はずっと支えてくれて。両親には感謝している」と涙ながらに語った。
11月の最終プロテストに向け懸命に調整していた。合格しても、ツアーの出場権獲得には11~12月の予選会を通る必要があった。今回プロ転向を宣言したことで、2週先の樋口久子三菱電機レディス(11月1~3日・埼玉)から来年11月の大王製紙エリエールレディスまでの出場権を得た。「(今季残り6試合は)全部出たい」と意欲を見せた。
既に用具やマネジメント、ウェア契約をめぐり争奪戦が始まっている。用品メーカーでは、中1からクラブを使うブリヂストンスポーツ、マネジメントはクロスビー、ウェアはビバハートなどが候補とされる。
2000年度生まれのミレニアム世代で一番乗りの優勝。「賞金女王になるのが夢。あと、ジュニアが憧れる選手になりたい。しぶこ(渋野日向子)フィーバーには勝てないと思うけど」。人気プロになって“彩佳フィーバー”を巻き起こす。(宮下 京香)
◆ミレニアム世代 古江ら逸材のそろう2000年度生まれのこと。4月に米オーガスタナショナルGCで初開催されたオーガスタナショナル女子アマ3位の安田祐香、昨年の日本ジュニア&日本女子アマ2冠の吉田優利、日本代表で活躍した西村優菜、米ツアー参戦中の山口すず夏ら。2学年上の「黄金世代」は日米通算8勝の畑岡奈紗、AIG全英女子オープン優勝の渋野日向子ら。
◆古江彩佳アラカルト
▽生まれ 2000年5月27日、兵庫・神戸市。19歳。
▽ゴルフ歴 3歳の時に母の影響で始める。17年から2年間、ガース・ジョーンズヘッドコーチの指導の下、日本代表でプレー。今春に滝川二高を卒業。4月のアジアパシフィック女子アマ選手権7位。6月の日本女子アマ選手権5位。プロツアーは16試合に出場し、ベストアマを7度獲得。
▽憧れの選手 宮里藍さん、成田美寿々。
▽スポーツ歴 水泳。4歳から高校まで教室に通った。
▽好きな歌手 浜崎あゆみ。ライブDVDを見ながら歌って踊る。カラオケの十八番は「BLUE BIRD」で92点の高得点。
▽特技 絵を描くこと。転戦中に何十本ものペンで描く。
▽家族 両親。
▽サイズ 153センチ、53キロ。