日本初開催の米男子プロゴルフツアー、ZOZOチャンピオンシップは24日、千葉・習志野CCで開幕する。2年2か月ぶりの米ツアー参戦となる石川遼(28)=カシオ=は23日、プロアマ戦で最終調整。18番パー5で人生初のアルバトロスを決めるなど、ショットが好調で5アンダー、65をマーク。1試合限定で、米ツアーをよく知るプロキャディーのサイモン・クラーク氏(豪州)とのコンビを復活させ、名参謀とともに日本男子6人目の米ツアー制覇に挑む。
日曜日の快挙を予感させる一撃が歴史的一戦の開幕前日に飛び出した。562ヤードの18番パー5。石川はドライバーで右のフェアウェーへ。残り261ヤードから3ウッドでの第2打は、目前の木の枝をよけるため「フェードをかけて」左から弧を描いてピン手前3メートルに着弾し、カップへと吸い込まれた。グリーン上にボールがなく、石川はバンカーを探したが、カップにボールが入っているのを確認すると、同伴競技者とハイタッチした。
「思った通りにすごくいいショットが打てた。アルバトロスは生まれて初めて。まさかこんな週にできるとは思わなかったのでうれしいです。前向きになれる」と興奮した様子。ホールインワンはプロ転向後、日米ツアーで2回ずつ、計4度経験。「(アルバトロスは)ホールインワンよりもないイメージ」と達成感に浸った。
今大会会場はこの日初めて回った。「素晴らしいと思った。36ホールから18ホールを選んで、アウトはパー3が3つなのでヤードは短いが、すごく長く感じる。これだけ池の絡む林間コースは珍しい」と第一印象を口にした。相性はすこぶるいい。大会ティーで回ったこの日は好ショットを連発して1アルバトロス、4バーディー、2ボギーの65。「アイアンがキーになるかな」と今大会4日間の攻略のポイントに挙げた。
頼れる元相棒と大一番でコンビを復活させた。石川は今大会は従来の帯同キャディーではなく、13年の米ツアー参戦後にコンビを組んでいたプロキャディーのサイモン氏に依頼し、昨年6月(日本ツアー選手権森ビル杯)以来の再タッグ。かつて田中秀道、細川和彦らのバッグを担ぎ、米ツアーでの経験は豊富だ。グリーンの起伏を読むのがうまく、この日は英語で息の合ったやりとりも見せていた。
千葉県は9月の台風15号で大きな被害を受けた。大会会場も100本以上の倒木の被害があった。「苦しんでいる方は、まだまだたくさんおられると思うので、千葉の地からゴルフの力で元気になってくれる人がいればいいなと思う。僕はそのために全力でやるだけです」と石川。“持ってる男”が、名参謀とともに大観衆を盛り上げる準備は整った。(榎本 友一)
◆アルバトロス 規定打数より3打少なく上がること。国内ツアーで、資料が残る1985年以降では41回ある。