インターネットオークションサイト「ヤフオク!」の新型コロナウイルス感染症に対する活動支援策として開催中の「エールオークション」で、女子ゴルフの渋野日向子(21)=サントリー=のサイン入りキャップが31日、143万1100円(税込み)で入札された。日本女子プロゴルフ協会(JLPGA)の選手会にあたるプレーヤーズ委員会の協力で、23人のプロがサイン入りグッズを出品。試合がない中でも「渋野人気」を証明する形となった。
渋野が出品したキャップが“入札ラッシュ”となった。JLPGAは5月22日にエールオークションへの参加を表明した。小林浩美会長(57)、プレーヤーズ委員長の青木瀬令奈(27)ら23人のプロがサイン入りグッズを出品し、25日正午から31日午後6時頃までネット上で競りが行われた。渋野のサイン入りキャップは開始44分で早くも10万円を超えると、30日夜に大台の100万円を突破し、メンバー最高額となる130万1000円(税込み143万1100円)の値がついた。
今回のオークションの収益金は「新型コロナウイルス感染症『医療崩壊』防止活動支援募金」と「新型コロナこども緊急支援プロジェクト」に寄付される。渋野は出品時、「今年度の海外試合で着用する予定のキャップです。新型コロナウイルス感染症に対する活動支援に、少しでも力になれたらうれしいです。ご協力よろしくお願いいたします。またファンの皆さまとお会いできる日を楽しみにしています」とサイトを通じてコメントしていた。
通常のピンゴルフ社のキャップは約4000円で店頭に並ぶが、スポンサーロゴと本人のサイン入りとあって破格の値段となった。JLPGA関係者も「まさか、こんなに高値がつくとは思っていなかった」としながら、「(落札額は)社会貢献に使っていただけるので、選手も喜んでいるのでは」と話した。
渋野は5月初め、地元の岡山県警を通じ、新型コロナの給付金に便乗した詐欺への注意喚起を促すなど活動を行ってきた。女子ツアーは37試合のうち19試合が中止となり、25~28日のアース・モンダミンカップ(千葉)で開幕の可能性を探る。試合がなくプレーでは見せられないが、支援の思いはオークションで、またひとつ形になった。
■試合で使用したものも…23人がグッズ出品
落札価格では渋野のキャップが突出しているが、有村智恵(32)が出品したドライバーは税込み28万円超で競り落とされた。委員長の青木は出品時に「たくさんの選手が賛同して出品してくれた。中には試合で使っていたもの、思い入れのあるものも含まれている。医療従事者、子供たちに(支援が)届くことを願って応援していただけたら」と動画で呼び掛けていた。
◆スポーツ界での主な高額オークション
▼フィギュアスケート 男子で五輪2連覇の羽生結弦(ANA)が18年、東日本大震災の復興支援チャリティーオークションにサイン入りスケート靴を出品。女性向けアパレルブランド「サマンサタバサ」が850万1000円で落札し、話題となった。羽生は19年にも同様の企画へスケート靴を出品し、712万2994円で落札されている。
▼サッカー 東日本大震災が発生した11年、日本プロサッカー選手会が行った復興支援チャリティーオークションで、元日本代表FW三浦知良(横浜C)のスパイクが777万8777円で落札された。同年3月に行われた復興支援チャリティーマッチでカズが履き、日本代表チームを相手にゴールを決めたもの。
▼ゴルフ 男子のタイガー・ウッズ(米国)が今年5月、インターネット上のチャリティー「オール・イン・チャレンジ」に参加。12月にバハマで開催が予定されている自身の大会「ヒーロー・ワールドチャレンジ」に招待し、パッティングのレッスンなども行うというパッケージを出品。26万ドル(約2800万円)もの高額で落札された。
▼バスケットボール NBAのスター選手、マイケル・ジョーダン氏が85年に実使用したサイン入りのシューズ「エアジョーダン1」が、今年5月にオークションハウス「サザビーズ」で56万ドル(約6000万円)で落札された。スニーカーとしては史上最高額。