女子ゴルフの渋野日向子(21)=サントリー=が6日、リモート会見で、20日開幕のメジャー・AIG全英女子オープン(英ロイヤルトルーンGC)での日本人初の連覇に意欲を見せた。昨年大会で日本中を笑顔にした“スマイリング・シンデレラ”は、コロナ禍で「英国から世界へ、私のプレーで勇気、笑顔を与えられるように」と宣言。7日に渡英し、米メジャーを含む10月中旬までの長期海外遠征で、生涯目標の5大メジャー制覇に近づくことを見据えた。
世界で戦う強い覚悟をにじませた。渡英前日の会見に臨んだ渋野は「(全英で)2連覇できるのは私だけ。でも、それより大事なのは、こういう(コロナ禍の)状況で本当に多くの方が大変な思いをしている。英国から世界へ、私のプレーで勇気、笑顔を与えられるように」と誓った。
初の海外試合だった昨年大会。当時20歳のルーキーは日本人42年ぶりのメジャー制覇で日本中に笑顔を届けた。だが、帰国後は出歩けないほどの注目ぶりに、昨秋の国内ツアーでは自分を見失いながら戦う時期も経験した。その中で前人未到の目標「5大メジャー制覇」を自らに与え、今回は人生で初めて2か月間、海外で過ごし、転戦する。
次週の前哨戦・スコットランド女子オープンから全英に出場後、そのまま米国に移動。自主隔離期間を経て、ANAインスピレーション(9月)、全米女子プロ(10月)と続くメジャー転戦に挑む。ANAと同週に地元・岡山で開催される国内メジャー、日本女子プロ選手権コニカミノルタ杯(10~13日)は欠場する。「本当に悩んだ。米国で戦いたいという自分の思いにうそをつきたくなかった」と胸中を告白した。
「今年は(コロナの影響で)予選会がなく、優勝するしか(来年の)米ツアーに行く手段がない。だったら挑戦しないと」と表情を引き締めた。さらに「4つ(の残るメジャー)プラス五輪(金メダル)も達成となると、もっと違う世界が見られるんだろうな」と先を見据えた。
6月の今季初戦アース・モンダミンカップで予選落ちした後は、今回1年ぶりにキャディーを任せる青木翔コーチと岡山などで調整した。初のリンクスコースに加え、コロナ禍での人数制限による2人での渡英、無観客試合と昨年とは違う状況となる。渋野は「かなりのリスクを負ってですけど、自分でも(コロナに)気をつけながら、万全な状態で臨みたい」と挑戦を心待ちにした。(岩原 正幸)
◆昨年の全英女子オープン優勝VTR ロンドンから北西へ約75キロ離れた林間コースのウォバーンGCで開催され、自身初の海外試合に臨んだ。66で初日2位と好発進した渋野は2打リードの首位から出た最終日、一時は3位と順位を下げたが、後半に5バーディーを量産し、68で回り1打差で逃げ切った。77年全米女子プロの樋口久子以来、2人目の日本人メジャー制覇。ラウンド中の笑顔と駄菓子を食べる天真らんまんさで大観衆を味方につけ、海外メディアから“スマイリング・シンデレラ”と呼ばれた。