渋野日向子「夢かな。6バーディー奇跡」日本人初メジャー2勝目へ「全英よりいいゴルフ」


 ◆米女子プロゴルフツアー メジャー最終戦 全米女子オープン 第2日(11日、米テキサス州チャンピオンズGC)

 2コースで第2ラウンド(R)が行われ、1打差2位から出た渋野日向子(22)=サントリー=は6バーディー、2ボギーの67と伸ばし通算7アンダーで単独首位に立った。優勝した昨夏のAIG全英女子オープンを思い起こさせる後半の強さを発揮した。「夢かな」と驚きながらも後続に3打差をつけ、日本人初のメジャー2勝目を視界に捉えた。

 プレー後のスコア提出所で順位を初めて確認した渋野は一瞬、信じられなかった。「今のうちに写真に撮っておきたい。夢かな。6バーディーを取れたのは奇跡」。通算アンダーパーが19人しかいない中、初日の自己評価100点をさらに上回る「120点」のゴルフで3打差リードの単独首位に浮上した。

 2つ伸ばして迎えた8番、小雨がぱらつく中で初ボギーも集中を切らさない。天候が持ち直した後半、「取れなかったら流れが悪くなる」と心配した10番で3メートルのバーディーを奪った。ここから、昨夏の全英で18アンダー全てを稼いだ“後半の渋野”が真価を発揮した。

 12番で2・5メートルのバーディー。16番でカラーから“3パット”でボギーが来ても、17番でショットを3メートルに運びバーディーを取り返した。代名詞の「バウンスバック」(ボギー以下のホール直後にバーディー以上)で「内容の濃いゴルフができている」とうなずいた。初日のアウト(1~9番)と、この日も後半に3つずつ伸ばす勝負強さを見せた。

 6バーディーはこの日最多タイ、2日間のパーオン率81%は全体2位だ。ぶれないショットに加え、「自分でも怖いくらい」のパットがかみ合う。全英を思い起こさせる快進撃にも「昨年の全英よりいいゴルフをしている」と、本人は“メジャー初V以上”の手応えを口にする。コロナ禍の20年は秋まで不振を経験し、「今までの自分を捨てた。全英覇者の肩書、プレッシャーも。初心に帰った。まっさらな気持ち」と心境の変化も好調の理由だ。

 海外初試合だった昨夏は「ピンしか狙っていなかった」と強気一辺倒。現在は「バーディーパットを打つ位置まで考えて2打目を打っている」と細やかな戦略を身に付け、「成長している。気持ちのコントロールができている」と明かした。

 国内で応援するファンに向け「2日目を終えて一番上にいる奇跡、楽しんでいただければ」とにっこり。持ち前の明るさは忘れていない。予選2日間で2コースを1度ずつ回る変則開催。決勝ラウンドの舞台は初日に68を出したサイプレスクリークCだ。「本当に粘るゴルフが必要。徹底的に頑張りたい」。プレーも思考も“新しい自分”になり、日本人初のメジャー2勝目をたぐり寄せる。

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