「幸せです」道産子・菊地絵理香 が初の地元Vに涙「勝負弱い。吐きそうになりながら」重圧乗り越え歓喜


優勝トロフィーを掲げて笑顔の菊地絵理香(カメラ・小林 泰斗)

優勝トロフィーを掲げて笑顔の菊地絵理香(カメラ・小林 泰斗)

◆女子プロゴルフツアー 大東建託・いい部屋ネットレディス 最終日(24日、北海道・滝のCC=6560ヤード、パー72)

 首位からスタートした地元・北海道出身の菊地絵理香(34)=フリー=が4バーディー、1ボギーの69で回り、通算20アンダーの大会コース記録で今季初優勝&通算5勝目を飾った。自らを「勝負弱い」と評するベテランが見事な勝ちっぷりで感激の涙を流した。三ケ島かな(26)=ランテック=が1打差2位。菊地とともに「ご当地V」を争った小祝さくら(24)=ニトリ=が2打差の3位だった。

 プロゴルファーの見本のような立ち居振る舞いだった。最終18番パー4。首位の菊地はピン左7メートル、1打差2位で追う三ケ島はピン手前5メートルにパーオンした。菊地のバーディーパットはわずかに右に切れてカップから20センチへ。ウィニングパットを最後に残すことなく、「お先に」パーパットを淡々と沈めた。

 「三ケ島さんがバーディーパット入れてプレーオフになると思って集中していました。『勝った気満々でいる』と思われるのは嫌でした」。2日連続で最終組でしのぎを削った三ケ島の実力を認めた上での敬意だった。その後、三ケ島が決められずに勝負が決した時、菊地は初めて集中を解いて表情をほころばせた。

 プロ15年目、プロとして節目のツアー400試合目で念願の“ご当地V”。「幸せです」と優勝スピーチでは感激の涙を流した。

 苦しみ抜いた勝利だ。「周りから『地元優勝』と言われてプレッシャーだった。私はプレッシャーに弱いし、勝負弱い。きょうも吐きそうになりながらプレーしていました」。弱気な言葉とは対照的な見事な勝ち方だった。

 地元優勝を争った10歳後輩の小祝に対しても敬意と感謝を示す。「北海道出身のプロが活躍することはいいこと。特に小祝さんが変えてくれた。きょうも小祝さんに怖さを感じた。それが私の集中力につながりました」と丁寧に話した。

 若手の台頭が著しい日本女子ツアーで34歳の菊地はベテランの域に入るが、今から充実期を迎えようとしている。「私がプロになった頃と変わった。『ここはパーセーブでしょ』という難しいパー4でバーディーを狙ってくる選手が増えた。だから、私も考え方を変えました」と、きっぱり話す。

 日本女子プロゴルフ協会の小林浩美会長(59)には「もう一つ上のステージに進めるよ」と祝福されたという。「その言葉がうれしかった」と実感を込めて話す。菊地はこれからもツアーのリーダー格であり続ける。(竹内 達朗)

 ◆菊地 絵理香(きくち・えりか)1988年7月12日、北海道・苫小牧市生まれ。34歳。6歳でゴルフを始める。宮城・東北高卒業後の2008年、2度目のプロテストで合格。15年のKKT杯バンテリンレディスでツアー初優勝。19年、主に上田桃子のキャディーを務める新岡隆三郎さんと結婚。姉の明砂美もプロゴルファー。趣味は音楽鑑賞、読書。157センチ、52キロ。

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