驚異のエージシューター田中菊雄の世界173 武藤一彦のコラム


 驚異のエージシュートは、1162回に達した。昨年末、体調を崩し入院するなどペースは落ちたが、われらが名人は、以前と変わらぬ元気な姿をコースで躍動させている。エージシュートは、2月18日現在、1162回。「達成年齢と回数」は別表の通り。さすがの数字である。

 

 78歳時に初めて16回と2ケタに乗ったエージシュートは以来、年間記録を更新し続け、83歳で初の100回を越える125回、さらに85歳時に200回越え、昨年86歳には自己最多の246回と年間最多記録を更新した。その間、84歳時、前年の125回に3回及ばなかったことがあったが、翌年には、初の200回越え、86歳の246回、自己最高記録を大幅更新へとつなげた。

 

 「年を重ねることはマイナスではない、1年、1年が貴重で元気でゴルフをやっていることの幸せを感じる。堪能している、楽しい。年を取るとゴルフが思うようにいかないと消極的になるようだが、私は今が人生で一番若いと前向きに生きていられる。技術を磨き、心身の健康と自己管理を目指す。こんな充実した、いい人生ができる丈夫な体に生んでくれた親と先祖に感謝。仲間にも感謝しています」

 

 充実のエージシュート人生、驚きの世界。だが、そんな順調な足取りが一転したのは昨年11月17日、1155回目のエージシュートを達成した直後だった。以後、39日間エージシュートは途絶えた。
 その日、アウトで38を出し今日こそと、という上り3ホールを、ダボ、ダボ、トリプルで53をたたいた。その2日後には、54,62の116の大たたきの異変。病院に行くと即入院。軽い脳こうそくが見つかった。3日間入院、4日間自宅療養。11月末、ようやくコース復帰、だが、12月は22日間、エージシュートは不発だった。暮れの押し詰まった、27日、ようやく41,46の87で復活の1156回が出たときはゴルフ仲間の尾花高夫さん(元ヤクルト投手)と抱き合って喜びを分けた。だが、12月はその一回だけ。
 が、年が明け正月の2日に初ラウンドを86で1157回。5日も86、1158回が出た。その後は寒さ厳しくグリーンが凍るなどタフなコースコンデションも加わり苦戦をしいられたが、体調は戻り、ラウンド数は以前通り連続している。そんな中、エージシュートは1161回まで伸びた。「ドライバーの飛距離は完全に戻った。だが、ショートアプローチが、以前の感覚が戻らない。アイアンを重い以前のものに戻したり工夫しているが、今度の経験でゴルフができる幸せを改めて知ることができた。この気持ちを糧に頑張っていける、私は本当に幸せです」エージシュート新時代が始まった。

 

〇達成年齢と回数
71歳    1
72歳    0
73歳    2
74歳    1
75歳    4
76歳    1
77歳    1
78歳   16
79歳   28
80歳   50
81歳   81
82歳   90
83歳  125
84歳  122
85歳  218
86歳  246
87歳  176
 計  1162

 

 ◆田中 菊雄(たなか・きくお) 1935年3月3日、島根・松江市生まれ。87歳。神奈川・川崎市を拠点にリフォーム、食品など5社、社員400人を抱える「北山グループ」取締役会長。東京・よみうりGCなど4コース所属、ハンデ5。初エージシュートは06年8月、71歳のとき静岡・富士国際富士コースを70で回った。173センチ、65キロ。