◆女子プロゴルフツアー アクサレディス宮崎 最終日(26日、宮崎・UMKCC=6565ヤード、パー72)
小雨が降る中、最終ラウンドが行われ、1打差2位からスタートした宮崎市出身の山内日菜子(ライク)が4バーディー、2ボギーの70で回り、通算10アンダーとして、地元で涙の初優勝を飾った。プロ8年目の26歳が家族や友人、知人が見守る中、知り尽くしたコースで堂々とプレーし、念願を果たした。1打差2位は比嘉真美子(TOYO TIRE)、2打差3位は川崎春花(村田製作所)ら5人の接戦だった。
コースは山内の「庭」だった。UMKCCは、小学校3年生の時に初めてプレーしてから、数え切れないほどラウンドした。「シーズンオフは少なくとも週に1回は回らせてもらいました」と山内は感謝する。
ピンチも「地の利」を生かして、しのいだ。
14番パー4。山内と同じく1打差で首位の川崎を追う比嘉がチップインバーディーを決めると、その直後、山内もチップインバーディー。3人が並んだ。
16番パー3。山内は侍ジャパンが優勝したWBCで学んだことを生かした。「WBCをテレビで見たら、多くの選手がガムをかんでいた。口を動かすのはいいのだろうな、思った。16番の第1打はおにぎりを食べて口をモグモグさせながら打ちました」と笑顔でモグモグショットを振り返った。第1打を5メートルにつけて、この日、四つ目のバーディーを奪い、単独首位に立った。
しかし、17番パー4では第1打を右にバンカーの端に曲げる大ピンチ。右足はバンカー内、左足はバンカー外という難しい位置。残り140ヤードの第2打を7アイアンでグリーンに乗せてパーセーブした。「(17番の第2打は)うまく打てました。ボールが散らばっても『何度もラウンドして、ここからも何回も打った』と自分に言い聞かせた」。フェアウェーを外しても、グリーンを外しても、山内は耐えしのいだ。
初の最終日最終組。序盤は苦しんだ。2番、3番で連続ボギー。首位スタートの川崎が4番でバーディーを奪い、その時点で最大4打差がついた。
ただ、山内は自分の「庭」で諦めることはなかった。「一番よく知っているコース。(ギャラリーの中には)知っている人も、応援してくれる人もたくさんいました。一番、応援してくれたのは家族です」。父・克則さん、母・由美さんら家族を始め応援団の期待を受けて戦い抜いた。
最終18番パー5。30センチのウイニングパットを決めると、大粒の涙を流した。グリーン脇の桜は満開。プロ8年目で山内の努力が開花した。
2019年AIG全英女子オープン優勝の渋野日向子(サントリー)と同じ名前の「ひなこ」。母・由美さんは名前の由来を「宮崎のお日様を浴びて菜の花のような子になってほしいからです」と明かした。
この日、前半、雨が降っていたが、勝利を決めた瞬間、山内の初優勝を祝福するように宮崎の薄日が差していた。