驚異のエージシューター田中菊雄の世界189 武藤一彦のコラム


 エージシュートはついに1300回を越えた。3月、エージシュートは月間で24回と量産された。月間自己最多エージシュート数は2023年シーズンの27回が最高で2位は2021年の26回、3位は2020年の25回。今回の月間24回は、19年に及ぶエージシュート人生で4番目に相当する久々の快挙となった。

 

 通算回数は1325回と急伸した。既報の通り、昨年10月から新年にかけ体調を崩し57日間にわたってエージシュートは不発だった。年が明けても調子は上がらず、ようやく1月下旬に3回出たものの2月は7回で計10回。往年の冴えには程遠い状態が続いた。

 

 だが、桜の便りが届く3月、一気に生き返った。1日、最も得意とするよみうりGCを44,42の86で通算1302回をマークする。しかし、翌2日、プロツアーの「ゴルフ日本シリーズ」開催コースの東京よみうりCCを回り51,41の92、さらに、翌3日も同コースの研修会で2日連続の92でエージシュートには及ばなかった。
 実は、3日は、名人の89才の誕生日。期するものがあったが、うまくいかなかった。
 「1日のよみうりGCは高麗グリーン、この日の東京よみうりCCはベントグリーンを使用。しかも距離の長いバックティーに変化しての対応に戸惑ったのかな?」と珍しく悔しさがにじんだ。

 

 だが、「2,3の両日、タフなバックティーから回って92は決して悪いスコアではない。ここは、厳しいティー、長い距離からしっかりパワーゴルフをやっておけば、ゴルフは鍛えられる。この後をみていてください」と言った。手ごたえはあったのだ。田中さんのすごさはこのタフな環境にいるからこそのエージシューターなのだ。鍛えられている。いや、田中さんは厳しい環境に身を置くことで自らを鍛えている。そういう人だ。
 4日から快進撃が始まった。ホームコースのよみうりGCを42,45の87。年齢89歳で初のエージシュートを、2アンダーで通算1303回目を飾った。5日は85、6日、84、7日、86で4連続、1306回に成功。8日はしっかり休養に当て、さらに翌9日から気合を入れエージシュートに再挑戦すると、なんと、11日間連続で通算1317回を達成。さらに3月31日までに8回を成功、通算回数を1325回の大台に乗せて見せたのだった。1935(昭和10)年3月3日生まれ、エージシューター、田中さんは89才を迎えた。エージシュートにとって年齢は特別な意味を持つ。3月は特別な月となった。

 

 ◆田中 菊雄(たなか・きくお) 1935年3月3日、島根・松江市生まれ。89歳。神奈川・川崎市を拠点にリフォーム、食品など5社、社員400人を抱える「北山グループ」取締役会長。東京・よみうりGCなど4コース所属、ハンデ5。初エージシュートは06年8月、71歳のとき静岡・富士国際富士コースを70で回った。173センチ、65キロ。