岩井千怜 地元パワーで今季3勝目「埼玉で優勝することが今年の目標だった」 会見後に150人にサイン対応


通算16アンダーで優勝した岩井千怜は優勝カップを手に笑顔を見せる (カメラ・堺 恒志)

通算16アンダーで優勝した岩井千怜は優勝カップを手に笑顔を見せる (カメラ・堺 恒志)

◆女子プロゴルフツアー 樋口久子・三菱電機レディス 最終日(27日、埼玉・武蔵丘GC=6650ヤード、パー72)

 単独首位から出た岩井千怜(ちさと、22)=ホンダ=は6バーディー、2ボギーの68で回り、大会記録を更新する通算16アンダーで5月以来、今季3勝(ツアー7勝)目を挙げた。地元・埼玉で双子の姉・明愛(あきえ、22)とし烈な優勝争いを繰り広げ、ギャラリーを沸かせた。次週は日米共催のTOTOジャパンクラシック(31~11月3日、滋賀・瀬田GC北C)。勝てば来季米ツアー出場権を得られる大会へ弾みをつけた。

 高揚感に浸った。岩井千は4メートルのバーディーパットを決め、ボールを拾い上げると両手を広げて観客をあおった。「(このパフォーマンスを)やりたいとイメージしながら回っていた」とくしくも2組前を回る姉・明愛が18番で取った行動と全く同じ。「そこまで一緒になるとは」と驚いたが、双子らしい一幕が見えた試合となった。スコア提出に向かう際には明愛とハグを交わし、優勝争いを繰り広げた岩井ツインズに、多くの拍手が送られた。

 地元での試合に、普段以上の強い思いで臨んだ。「埼玉で優勝することが今年の目標だった」。最終組で大勢のギャラリーを引き連れ、熱い声援を受けた。表彰式のスピーチでは「3日間、友達と親戚とたくさんのタオルと。応援していただいて、本当に力になりました」と集まった4752人へ語った。

 午後4時頃に終了した優勝会見後には、約150人のファンが列をなして千怜を待っていた。日も傾き、冷え込む時間帯だったが、20分間、最後まで笑顔を絶やさず対応。「ここまでの(列)は見たことない。やっぱり地元だからかな。同じ埼玉県民として(喜びを)共感できたらうれしい」と感慨深く話した。

 コースまでは車で約30分の自宅から通った。普段は食べることができない母・恵美子さん(49)の手料理で力をつけた。「『いつもありがとう』と伝えて食べていた。たまにしか食べられないからこそ幸せを感じた。お母さんが作る豚汁が一番おいしい」と感謝した。

 地元の好きなところは「においだったり、雰囲気や静かなところが落ち着く。あとは友達に会えるのが一番大きい」という。今大会にも幼なじみや中学時代の友人が観戦に訪れ、励みになった。普段は毎週、月曜日にしか帰ることができないが、週に一度の帰省が癒やしとなっているようだ。

 埼玉出身の大先輩で、今大会名誉会長で日米など通算72勝の樋口久子・日本女子プロゴルフ協会顧問(79)は、目標の一人。「憧れる。樋口さんのようになって、海外を目指している子に経験を伝えていきたい」。24日のプロアマ戦で初めてラウンドし、「優しい雰囲気もあるし、オーラもある。初めて回れたこともうれしかった」と開幕前に刺激を受けた。

 次週は日米共催のTOTOジャパンクラシックを控える。優勝すれば来季の米ツアー出場権を獲得できる大きなチャンス。12月には米ツアーの最終予選会を受験予定だが、「一番は勝って、QT(予選会)を受けないのが夢でもあり、目標。来週も優勝目指して頑張りたい」と力を込めた。(富張 萌黄)

最新のカテゴリー記事