
クマが目撃されたとされる林を捜索する大会関係者、地元警察ら(カメラ・今西 淳)
女子プロゴルフの国内ツアー、新規大会「明治安田レディス」を主催する日本女子プロゴルフ協会(JLPGA)は16日、会場の宮城・富谷市の仙台クラシックGCでクマの目撃情報があったため同日のプロアマ戦を中止し、安全確保のため、17日の第1ラウンド(R)も中止すると発表した。1988年のツアー制施行後、レギュラーツアーが動物出没の影響で中止となるのは初めて。第2R以降の開催可否は17日に判断する。
異例の事態に、ゴルフ場は一時騒然とした。プロアマ戦の開始から約3時間後の午前10時すぎ。1番ティー付近の林で小型のクマを目撃したとキャディーから情報があり、選手や参加者らには急きょ、クラブハウスへの避難が呼びかけられた。ホステスプロの勝みなみ(27)=明治安田=は開始2ホール目の11番で第1打を打った直後、関係者に中止を告げられ「最初は『えっ…どゆこと?』ってなった。(ゴルフ場で)クマは見たことがない」と驚きを隠せなかった。
その後、地元警察や自治体、大会関係者ら十数人がコースを捜索したが、クマは発見されず。午後1時半、協会は安全確保と今後の対応策を検討するために17日の競技中止を決め、選手や関係者はコースを離れた。
協会によると、クマ出没が原因でのレギュラーツアーの試合中止は「記録に残っている限りでは初めて」。クマに限らず、動物出没でも初だった。小林浩美会長(62)は「楽しみにしてくださったファンの皆さま、大変申し訳ありません」とコメント。国内女子ゴルフでは5月24日に石川県で開催された下部ツアー、ツインフィールズ・レディース最終日にクマが出没し、安全上の理由で中止となっていた。
宮城県の自然保護課は3月、今年はクマが好む木の実が凶作となった影響で行動範囲が広がり、4~11月の出没は平年より多い見込みと発表。県内にはツキノワグマを中心に推定2783頭(24年度)が生息し、直近の約3か月間の目撃情報は302件に上る。仙台クラシックGCの美濃秋伸副支配人によると、3年前にイノシシが出没し、コースの外周に高さ1・5メートルのフェンスを設置する対策を講じたが、コースでもクマの目撃情報は寄せられた。
協会の広報担当者は「今はコース周辺を見回っている状況。クマの痕跡を確かめて競技が実施できるか判断したい」と説明した。大会には約120人の選手が出場予定。17日は選手、キャディーらにコースへ出入りしないよう呼びかけられ、第2日以降の開催可否を協議する。(星野 浩司)
◆主なスポーツ大会の動物出没 女子ゴルフでは05年11月、宮里藍が米ツアー最終予選会(フロリダ州)の練習ラウンド中に体長約3メートルのワニと遭遇し「すごいですねえ」。16年リオ五輪では野村敏京が第1Rで蛇とカピバラが出現する事態にも「動物園みたい」と笑顔でプレーした。15年7月に南アフリカでサーフィンの国際大会に出場したミック・ファニング(豪州)が、決勝戦の試技に入る直前に水中でサメに襲われたが「ヤツの背中にパンチを食らわせてやったよ」。大会はそのまま中止となった。