亜斗夢、首痛も首位発進!「消化ラウンド」割り切ったらパット絶好調


10番、ティーショットを放つ重永。5アンダーでトップタイの好発進を見せた

10番、ティーショットを放つ重永。5アンダーでトップタイの好発進を見せた

 ◆男子プロゴルフツアー長嶋茂雄招待セガサミーカップ第1日(30日、北海道・ザ・ノースカントリーGC、7167ヤード=パー72)

 熊本市出身の重永亜斗夢(あとむ、27)=ホームテック=が1イーグル、4バーディー、1ボギーの5アンダー、67をマーク。熊本地震の起きた4月14日以来、自身3度目の首位発進を決めた。棄権した前年同様、宿舎の枕が合わずに首痛を発症もハリを打って強行出場。「マイ枕」を急きょ自宅から取り寄せ、悲願の初優勝を地元・熊本へ届ける。同じく初優勝を狙うT・クロンパ(26)=タイ=も、首位に並んだ。

 風の強い午後、北の大地でぎこちない動きの27歳が、リーダーボードを駆け上がった。重永はこの日朝、首痛に見舞われた。スタート前にマッサージを受け、ハリを打ったが棄権も考えた。「今週に入ってからおかしくて。(首の周りが)ガチガチに硬くてバックスイングが取りづらい。体が回らずに」と2ホール目の11番で池に入れてボギー。「消化ラウンドかなと割り切った」と気楽に回るとパットが不思議と良くなった。

 見せ場は431ヤードの1番パー4だ。残り122ヤードのラフから52度のウェッジでの第2打がカップへ。「目が悪いから見えなくて。ウソでしょって感じでした」と苦笑い。「アドレナリンが出たのか(後半は)痛みを感じなかった。今は痛い」と会見場で首をなでた。

 首痛は、手首痛と同じく8年ほど前からの古傷だ。昨年大会は初日に78をたたき、第2日に棄権した。今年も同じホテルに泊まり「硬くて高い枕が合わない」と首痛が再発。この日朝、自宅のある熊本に居る妻・和歌子さんに電話し、昨年作ったオーダーメイドのマイ枕を送ってもらうように頼んだ。「届くのは明日か明後日になるので、今夜はバスタオルやTシャツで枕を作ります。明日起きてやれるかどうか」と第2日の出場は微妙な状況だ。

 故郷・熊本のためにコース外でも奔走する。8月のRIZAP・KBCオーガスタ(芥屋GC)の前週に、日本ゴルフツアー機構(JGTO)の青木功会長(73)と同じ熊本出身の永野竜太郎(27)とともに熊本県内の避難所を訪問する。重永はJGTOに「熊本では男子ゴルフの試合がない。普段はなかなか触れ合うことがないので、有名なプロも呼んでほしい」と懇願中だ。さらに「来週から出てくる石川遼にも個人的にお願いしてみます。子供たちが喜ぶと思うので」と重永。2週前に熊本市内の自宅に帰省し、強い思いを秘めるアトムが首痛と闘い、初Vに挑む。(榎本 友一)

 ◆重永 亜斗夢(しげなが・あとむ)1988年9月14日、熊本市生まれ。27歳。父の影響で8歳からゴルフを始め、沖学園高から日大に進むが1年で中退し、2008年プロ転向。14年に賞金ランク65位で初の賞金シード入り。15年も同46位でシードを継続中。平均飛距離は270ヤード。得意クラブはSW。172センチ、60キロ。血液型O。家族は妻と2女。

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