上原彩子、勘違いからの68罰打で日本ツアー最悪の141


10番、ティーショットを放つ上原彩

  ◆女子プロゴルフツアー 伊藤園レディス第2日(12日、千葉・グレートアイランドC、6639ヤード、パー72)

 女子ツアーで前代未聞の珍事が連発した。第1ラウンド(R)を73で終えた上原彩子(32)=モスバーガー=が、自身の勘違いによりホールアウト後に「68罰打」を科された。1日のスコアとしては男女を通じて日本ツアー史上最悪となる「141」を記録した。松森彩夏(22)=スターツ=は第1Rの最終18番グリーン上で、キャディーに向かって投げたボールがそのまま池に入った末に紛失。2罰打を科せられる騒ぎもあった。

 まるでゴルフ初心者のような3ケタのスコアが、女子ツアーの歴史に刻まれた。上原彩の第1Rは69オーバー141。女子ツアーの18ホールのワースト記録である109を大幅に更新。男子ツアーの同ワースト記録である122も塗り替えた。記録的には“日本ツアー最悪の大叩き”を喫し「完全に私の確認ミス。思い違いです」と肩を落とした。

 初日は大雨でフェアウェーがぬかるみ、ボールに泥が付きやすい状況だった。競技委員会では公平さを守るためにローカルルールを適用。「フェアウェーやカラーにある球は罰打なしで、ボールを拾い上げてふき、元の位置にリプレースできる」と紙に記して選手やキャディーに手渡し、希望する選手には口頭でも説明した。

 ところが上原彩は「ボールを拭いた後で1クラブ以内の範囲に置き直せる」と勘違いした。この日の第2R直前に、間違いに気付いて競技委員会に申告した。

 これで第1Rのスコアに前代未聞の罰打が科せられることになった。2罰打が科せられる「誤所からのプレー」(ゴルフ規則20―7)を15ホールで計19回行ったため、合計38罰打。「誤所からのプレー」による2罰打を15ホール全てで計算していないため過少申告となり、さらに2罰打×15で計30罰打。実際に打ったスコア73に合計68罰打を加えて141となった。

 日本と米国の違いが勘違いの原因だ。2013年から米女子ツアーを主戦場としており、今大会は“スポット参戦”だった。米ツアーは悪天候による同様のケースでは「1クラブ以内に置き直せる」というローカルルールを適用するケースもある。同情の余地もありそうだが、本人は「固定観念を持ってしまうのはダメだと思う。他の選手以上に明確にした上でプレーしないと」と話した。

 第2Rスタート前には、江間競技委員長から「かなりの罰打が科せられますよ」と説明され、状況は理解していた。仮にどんなスコアで回ったとしても予選落ちが確実だったが、第2Rもプレーして68をマークした。「遠いところから飛行機で応援に来て下さったファンの方もいた。棄権は考えませんでした」と意地は見せたが、何とも後味の悪い結末となった。(高橋 宏磁)

 ◆日本ツアーの18ホール最多ストローク記録 1988年の女子ツアー制度後では、89年anクイーンズ初日にアマの伊藤智子が記録した109(伊藤は予選2日で通算62オーバーで2日間の最多記録でもあった)。男子ツアーでは詳細な記録が残る85年以降で、87年東海クラシックの鈴木規夫の122(スコア誤記によるもの)がある。

 昨年までは失格規則改正の悲劇

 上原彩の141は、ゴルフの総本山である「R&A」によるルール改正によるとも言える。昨年まではツアーで過少申告でスコア提出した選手は失格処分になっていた。罰打の加算もなく失格になり、今回のような3ケタのスコアが生まれることもなかった。だが、今年からゴルフ規則6―6d「スコアの誤記」に「例外」が付け加えられた。「どのホールであっても競技者がスコアカードを提出する前に罰を受けていたことを知らずにスコアを提出した場合は競技失格とはならない」という例外が“68罰打の悲劇”を生んだ。

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