笠りつ子、故郷・熊本被災で心境変化…賞金女王になって笑顔届ける


 ◆女子プロゴルフツアー ヨコハマタイヤ PRGRレディス第2日(11日、高知・土佐CC)

 11位で出た笠りつ子(29)=京セラ=が3バーディー、1ボギーの70で回り、通算4アンダーで首位と2打差の5位に浮上した。昨年4月に地元の熊本地震で被災したことで「3・11」への思いも変化。東北と熊本の復興を願いながら、初の賞金女王に向けて自己最速開幕2戦目での優勝で好スタートを切る。未勝利の青木瀬令奈(24)=三和シヤッター工業=が6アンダーで単独首位をキープ。

 青空と緑の芝に、持ち前の明るい笑顔が映えた。笠は3番で5メートル、6番で6メートルのバーディーパットを沈めると、14番では20ヤードのチップインで70の4アンダー。風速7・8メートルの海風で平均ストローク73・7と各選手が苦戦する悪条件でスコアを伸ばし、首位と2打差の5位に。「絶対に忘れちゃいけない日。(東北と熊本で被災した)みんなも前に進んでいるし、立ち止まっていない。もっと前向きにいきたい」。強い決意をプレーに込めた。

 昨年4月のツアー中に熊本地震で被災。実家のゴルフ練習場は、壁が崩れるなどの被害を受けた。「たくさんのものを失った。これまで以上に『3・11』で被災した人の気持ちが分かった」。この日は、早朝に出る選手が午前7時に練習場で東北の方向を向いて黙とう。同9時13分スタートの笠は、クラブハウス内で静かに目を閉じた。

 脳裏に焼きついた6年前の記憶がよみがえった。「この日だったんだな」。東日本大震災が起きた大会初日に高知県内の会場で影響を受けた。震度1で通常通り競技が行われたが、土佐CCは太平洋沿いで津波の予報があり、午後4時過ぎに出入り口を封鎖。選手や観衆は、午後7時55分の規制解除まで4時間近く会場で待機を強いられた。第2日以降は中止に。「後から津波ですごいことになっていることを知った」と振り返る。

 昨季2勝で賞金ランク3位。日本人トップだったが、夢に見た賞金女王には届かなかった。12、15年より2試合早い開幕2戦目での優勝を狙う。「私にできるのは元気にプレーすること。その姿を届けていきたい」。最後まで笑顔を崩すつもりはない。(浜田 洋平)

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