◆米男子プロゴルフツアー メジャー初戦 マスターズ第2日(7日、米ジョージア州オーガスタナショナルGC、7435ヤード=パー72)
【オーガスタ(米ジョージア州)7日=榎本友一】54位で出た松山英樹(25)=LEXUS=が5バーディー、1ボギー、1ダブルボギーの70で回り、通算2オーバーの16位へと浮上した。卓越したショートゲームで我慢強く首位との差を11から6に縮め、逆転でのメジャー初優勝圏に突入した。
日本のエースが世界ランク4位の真価を発揮した。強風に加え、グリーンの際に切られた難しいピン位置。スコアを伸ばしたのが14人のみの難条件で、松山は5バーディーを量産。クラブハウス前のオークツリーの下で日本の報道陣に囲まれ、残り2日間での逆転優勝が可能か問われると「そうですね。6打差ある。それがなくなるように頑張りたい」と、淡々と内に秘めた闘志を燃やした。
初日は強風もあり全体91位の35パットと大苦戦。ホールアウト後はパット練習に時間を割き「悪くはない」と確固たる自信を取り戻した。この日は強い風の中、超高速の“ガラスのグリーン”に適応。前日3度あった3パットはゼロ。3、5、8番で1・5メートル、10番は4メートルを沈めて伸ばした。12番では4メートル、14番も3メートルのパーパットをしぶとくねじ込んだ。
同組のライバルの存在も“追い風”となった。7番で第1打を右の林に曲げ、第2打を木に当てて2日連続のダブルボギー。「自分の状態はそんなに良くないので無理をしてミスが出た」と松山。続く8番で同組のファウラーが先に3メートルのバーディーパットを決めた。「最近調子のいいリッキーについていけるように」と大会前に話していた松山はバーディーで応戦。ファウラーはこの日のベストスコア67をマークし、松山もその流れに乗った。
終盤はアプローチが光った。17番はグリーン右奥60ヤードからロブショットで1メートルに寄せてパー。18番もグリーン左奥からの第3打をグリーン左端から傾斜に乗せて転がしてカップをかすめて50センチへ。「何回も映像で見てますし、練習ラウンドしてもあの寄せ方しかない」。6度目の出場の経験に裏付けされた超絶アプローチで、目の肥えたパトロン(観客)をどよめかせた。
第3ラウンド(R)は海外メジャー2勝のカイマー(ドイツ)と同組。首位との差は11打差から6打差に縮まり、逆転V圏に突入した。第2R終了時点での最大逆転は1956年のジャック・バークの8打差。「明日、明後日は風がないんで、我慢しているだけではチャンスはない」と松山。悲願のメジャー初優勝をつかむため、日本の怪物は決勝Rは攻めに出る。
◆松山の米ツアーでの逆転優勝 自身の最終日最大差逆転は今年2月のフェニックスオープンでの4打差(3位)。66で回り、通算17アンダーでウェブ・シンプソン(米国)とのプレーオフ(PO)を制し大会連覇。米初Vとなった14年6月のメモリアル・トーナメントでは最終日に2打差3位から逆転。69で回って通算13アンダーとし、POでケビン・ナ(米国)を撃破。16年2月のフェニックスオープン最終日は3打差2位から67。通算14アンダーでリッキー・ファウラー(米国)と並びPOを制した。