◆女子プロゴルフツアー KKT杯バンテリンレディス最終日(16日、熊本・熊本空港CC、6452ヤード=パー72)
首位と1打差の2位で出た西山ゆかり(34)=アマダホールディングス=が、通算4アンダーで並んだ上田桃子(30)=かんぽ生命=とのプレーオフ(PO)を1ホール目で制し、15年8月以来のツアー通算2勝目を挙げた。昨年は地震の影響で大会中止となり、2年ぶりの開催。地元ギャラリーが熊本出身の上田を応援する“アウェー”の環境で、勝負に徹した。
大アウェーの中で粘り勝ちだ。上田との最終組で迎えた正規ラウンドの最終18番。西山は先に3メートルのバーディーパットを沈めて1打差に迫り「上田さんのパットも簡単にはいかない」とプレッシャーをかけた。上田は1メートル弱を外してボギー。土壇場でPOに持ち込むと、西山が1ホール目をパーとし、第2打を池に入れた上田がボギーで、ツアー通算2勝目をゲットした。
7351人の観衆は、上田の一挙手一投足に声援を送った。大庭長人キャディー(55)と「アウェーですね」と笑うほどの逆境。地元ファンには“期待外れ”の結末だったが、西山が優勝スピーチで「昨年は突然の地震でつらい思いをされた方もいた。大会を楽しみにしてくださった皆さまの熱い声援を頂き、思い切ってプレーした」と語ると、大きな拍手を送られた。
先週、男子ツアー通算5勝の師匠・芹澤信雄(57)から「粘り強くなったな」と成長にお墨付きをもらった。18歳でゴルフを始め、26歳の08年にプロ転向。30歳を超えて2勝と遅咲きだが「今の若い選手とゴルフ歴は一緒くらい。同じ目線でゴルフを見るので『私も若い子かな~』って思ってますよ」と初々しさ?をアピールした。
昨年の大会前日に起きた前震はホテルの宿舎で体験し、大庭さんは被害の大きかった南阿蘇村の実家で被災した。個人的な今後の被災地支援は未定だが「何らかの形で必要。事務所と相談したい」と前向きだ。本震からちょうど1年のこの日、女子ゴルフ界も新たなスタートを切った。(浜田 洋平)