池田勇太、逆転Vで長嶋さんと2ショット撮りたい…大ファン祖父に恩返し


ホールアウト後、長嶋茂雄氏の出迎えを受けて笑顔で握手を交わす池田勇太(右、カメラ・竜田 卓)

ホールアウト後、長嶋茂雄氏の出迎えを受けて笑顔で握手を交わす池田勇太(右、カメラ・竜田 卓)

 ◆報知新聞社後援 男子プロゴルフツアー 長嶋茂雄招待 セガサミーカップ第3日(8日、北海道・ザ・ノースカントリーGC=7178ヤード、パー72)

 昨季の賞金王・池田勇太(31)=フリー=が2バーディー、ボギーなしの70でまとめて通算12アンダーの2位。観戦に訪れた大会名誉会長の長嶋茂雄・巨人軍終身名誉監督(81)と握手を交わし、最終日逆転で優勝して表彰式での“ミスター”との2ショット記念写真を、大ファンだった祖父の仏壇の前に届けることを誓った。ツアー初出場のマーティン・キム(29)=アルゼンチン=が、13アンダーで初Vに王手をかけた。

 同じ千葉県出身の偉大なスーパースターの目前で、逆転優勝を狙う。最終18番。池田は3メートルのバーディーパットを外し、パーでホールアウト。グリーン脇のテントで見守った長嶋大会名誉会長の元へ歩み寄り「ご無沙汰しています」とあいさつ。ミスターから「ああ。元気?」と声をかけられ、左手で固い握手を交わした。「悪いものは今日、全部出ましたので」と勇太が最終日の逆転優勝を誓うと「ハハハッ」と、ミスターは満面の笑みを浮かべた。

 最高気温30度を超える猛暑の北の大地での伸ばし合い。池田は前日までの予選2日間で最多14バーディーを量産も、この日はちょっとしたかみ合わせの悪さに苦戦。「第2打が気持ちよく打てる距離が残らなかったり、グリーンでもしっかり打てないラインが多く残ったりで。いわゆる、こうパッとしなかったゴルフ」と“長嶋節”も交えて説明。とはいえ、3番で2オン2パットのバーディー。16番では、8メートルを沈めて伸ばしてV戦線に生き残った。

 4月以来の日本ツアー参戦。過去7度の出場で昨年の14位が最高成績とコースとの相性は良くない。だが、どうしても勝ちたい理由がある。「祖父は大の巨人好きで、長嶋さんのことも大好きで。長嶋さんは巨人になくてはならない存在だ、とよく聞いていました」と勇太。6歳でゴルフに導いてくれた、祖父・直芳さん(故人)への恩返しの熱い思いが体を突き動かす。

 最愛の祖父は15年5月に85歳で他界。今大会の優勝者は、表彰式でミスターと2ショット撮影できる。「優勝して、長嶋さんと写真が撮れれば、祖父にもいい報告ができるかもしれない」と勇太。選手会長だった13年大会最終日には、国民栄誉賞の記念品として金色の3アイアンをミスターに手渡した縁もある。チャンスに強かった千両役者の前で昨秋以来のツアー通算17勝目を挙げ、最高の恩返しを果たす。(榎本 友一)

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