松山の全英Vへ「風とバンカーを読め」76年10位の鈴木規夫プロが金言!


鈴木規夫氏

鈴木規夫氏

 6月の全米オープンで、日本人歴代最高に並ぶ2位に入った松山に、日本男子初メジャー制覇への期待が膨らむ中、1976年大会で今大会と同じコースで日本人歴代最高の10位となった鈴木規夫(66)=オハヨー乳業、写真=が、強風が吹き荒れるフェアウェーの狭い全英屈指の難コースの攻略法を説きながら、松山の優勝の可能性に太鼓判を押した。

 今もなお、41年前の興奮は鮮明だ。76年全英オープンに予選会を突破して初出場した鈴木は初日、得意のアイアンショットを武器に6バーディー、3ボギーの69。メジャーデビュー戦初日を、セべ・バレステロス(スペイン)らとともに堂々の首位で発進した。「最終18番のギャラリーの人だかりがものすごかった。熱狂的な1万人以上が両側を覆っていて。本当にすごかった」

 ロイヤルバークデールGCはフェアウェーが狭く、全英屈指の難コースだ。前回同コースで行われた08年大会では7人の日本勢が予選で全滅。特にアイルランド湾からの強風が吹きつける1番パー4は「全英オープンで最も攻略の難しいスタートホール」と呼ばれる。鈴木は全体の印象を「ティーグラウンドから見えないバンカーが多くて運と不運が出るコース。風とバンカーを読まないと」と指摘する。

 印象深いのは10番パー4だ。残り150ヤードのフェアウェーからの第2打。8アイアンでピンを狙おうとすると、ハウスキャディーが突然「グリーンには乗せるな」と言ってきた。「『ここからグリーンを狙うと(当時あった)左バンカーに入る。ピッチングウェッジで手前に置くのがいい』と。近づいて見たら、バンカー方向への傾斜があった。もしピンを狙っていたらボギーもあった」

 同コースで行われた54、65年大会など全英5度優勝のトムソン(豪州)らと練習ラウンドして攻め方を伝授され、日本人全英初の10位につなげた。鈴木は「風向き次第でパーでいいホール、ボギーでいいホールが出てくる。そこで欲をかいてピンを狙っていかずに我慢できるか。グリーン上でも風を読まないといけない。一喜一憂せずに淡々と4日間回って、トータルでどうなるか」と攻略法を説いた。

 「日本のSUZUKIはバイクだけじゃない」と地元メディアを驚かせてから41年。同じコースで計21人の日本人が挑戦したが、鈴木の10位が今も最高位だ。今大会、メジャー初Vの期待の高まる松山については「ゴルフの完成度は世界でも5本の指に入る。これまででメジャー優勝に一番近い日本人。期待していますよ」。再び彼の地で日本人が輝きを放つ瞬間を待っている。(榎本 友一)

 ◆ロイヤルバークデールGC 1889年に開場されたリンクスコース。イングランド北西部、リバプールに近く、全英オープンは2008年以来9年ぶり10回目の開催。前回はパドレイグ・ハリントン(アイルランド)が最終日2打差逆転で、通算3オーバーで2連覇した。54年に初めて全英が開催され、61年大会でアーノルド・パーマー(米国)が初優勝。91年大会では日本ツアー3勝のイアン・ベーカーフィンチ(豪州)が優勝した。全英リコー女子オープンも6度開催している。

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