成田美寿々が通算8勝目 東京五輪金メダルに向け3年計画着々


ウィニングパットを沈めガッツポーズする成田美寿々。2年ぶりの優勝に笑顔がはじけた(カメラ・今西 淳)

ウィニングパットを沈めガッツポーズする成田美寿々。2年ぶりの優勝に笑顔がはじけた(カメラ・今西 淳)

 ◆女子プロゴルフツアー 大東建託・いい部屋ネットレディス最終日(30日、山梨・鳴沢GC)

 首位から出た成田美寿々(24)=オンワードホールディングス=が6バーディー、1ボギーの67で回り、通算21アンダーで2位に4打差のまま逃げ切りV。15年6月サントリーレディス以来の通算8勝目を飾った。20年東京五輪の金メダル獲得を掲げ、3か年計画初年度としてスタートした今季、パット担当コーチと新たに契約し、苦手を克服。得意のショットとかみ合い、賞金ランクでも5位に浮上した。

 最終18番、成田は80センチのパーパットを沈めると、笑顔でガッツポーズを作った。「やっと勝てた。2年間、勝てなかったことがないので、苦しんで勝てたことで、もっと強くなれる」。4番で今大会初ボギーがきても動じることなく、5番では第2打を50センチにピタリ。14番で2メートル半のピンチをしのぎ、2年ぶりVを確信。これまでは接戦で美女ゴルファーを倒し“かわい子ちゃんハンター”の異名を取ってきたが、今回は後続に影すら踏ませぬ完勝。プレーを見守った父の俊弘さん(62)が「横綱相撲だった」と目を細めた。

 オフに父と話し合い、東京五輪金メダル獲得に向けた、3か年計画を立てた。17年の目標は賞金女王争い。ここ3戦は5、4、3位とあと一歩で優勝を逃していたが「(自分のように)常に上位に入る選手が、勝つ確率も高い」と冷静に自信を持っていた。賞金ランク5位に浮上し「(首位とは)約4000万円差か。あと17試合あるので上を脅かしたい」とプラン通りに、高額賞金大会の多い終盤戦での猛追を誓った。

 来季以降は18年が海外メジャーでV争い、19年は世界ランク10位以内(現在90位)と掲げた。その目標を達成するためにも「パッティングがうまくない選手は米国では通用しない」と一念発起。平均パット数1位の鈴木愛(23)を育てた南秀樹コーチ(43)に1月から弟子入りした。「ラインの読み方が随分違っていた。これでよくできていたな」と発見の連続。これまでの3倍の時間を練習に費やし、バックスイングを気にせずフォローを出す一定のリズムを作ると、同部門で昨季の17位から10位に上昇。元々得意だったショットとかみ合い、スコアメイクが容易になった。

 復活Vも通過点と考えるからこそ、涙はない。「五輪は出場だけで終わらせたら面白くない。金を狙わなきゃ競技者じゃない」。持ち前の歯切れのいいコメントで、世界一を見据えた。(岩原 正幸)

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