池田勇太ヒヤヒヤ「もっと楽に勝ちたかった」史上5人目2年連続の賞金王へ


18番、ウィニングパットを沈めた池田勇太は、ギャラリーに向かってガッツポーズ(カメラ・谷口 健二)

 ◆男子プロゴルフツアー・メジャー第3戦 日本オープン最終日(15日、岐阜・岐阜関CC東C=7180ヤード、パー70)

 2日目から首位を走る池田勇太(31)=フリー=が3バーディー、3ボギー、1ダブルボギーの72で回り、通算8アンダーで2014年以来の大会2勝目を挙げた。東北福祉大の後輩・金谷拓実(19)=1年=との優勝争いを制し、4試合ぶり今季3勝目となるツアー通算19勝。賞金ランクは6位から3位に浮上し、1973年ツアー制施行後では尾崎将司、青木功、中嶋常幸、片山晋呉以来5人目の2年連続賞金王へ弾みをつけた。

 安堵(あんど)の表情が泣き顔に変わるのをこらえた。池田は3年ぶりに「ゴルファー日本一」の称号を手に入れ、賞金ランク3位に浮上。「もっと楽に勝ちたかった。日本オープンで勝つって難しいもんなんだね」。18番グリーンで重圧が体中から抜けていった。

 2位に5打差、アマとの優勝争い。勝って当たり前の空気に潰された。3番第1打を左OBでダボ。「相当な気合が入っていた。自分でどう打っているか分からない」。金谷に4番で1打差に迫られ、独走態勢が崩れた。6番で伸ばしたが、金谷もバーディー。7番で2打差に引き離したが、9番で1メートルを入れられず、3パットのボギーでまた1打差。「プロならアマに負けちゃいけない。プライドがある」と心を奮い立たせた。

 プロの技を見せつけた。297ヤードの11番パー4。アイアンで刻んだ金谷に対し、ドライバーを豪快に振り抜いてワンオンを決めた。ギャラリーにドヤ顔で拳を突き出してバーディー。「俺らは商売をさせてもらっている。金を払って見に来てるんだから『男子プロのすごさだぞ』と見せなきゃ」。1打リードの最終18番も3ウッドで刻んだ金谷に対し、ドライバーでフェアウェーの真ん中へ。パーセーブで勝利をつかみ、12歳下の後輩アマに威厳を示した。

 前夜は思わぬ重圧をかけられた。「優勝おめでとう!」。気の早い祝福メール、携帯電話が鳴りやまない。第3日は終盤16、18番でボギー。「本当に悔しくてね。納得がいかなかった」。その光景が夢にまで出てきて、2回も目が覚めた。

 世界ランクは36位付近まで上がる見込みで、来年のマスターズ出場も近づいた。「もう一回あそこに行きたい。(ミスが)夢に出ないように酒を飲んで寝るよ」。史上5人目の2年連続賞金王になり、ファンへの感謝を男気で返す。(浜田 洋平)

  ◆池田の主な記録

 ▽日本人最年少で大会2勝目 1973年のツアー制施行後、最年少31歳297日で大会歴代6位タイの2勝目。宮本留吉の6勝が大会最多。

 ▽秋男 10月は自身最多の月間7勝目。通算19勝のうち9月2勝、11月3勝と計12勝が秋。

 ▽生涯獲得賞金 10億4781万1969円で、倉本昌弘を抜いて9位に。

 ▽世界ランク 日本ゴルフツアー機構によると、16日発表の世界ランクで52位→36位前後まで上がる見込み。12月末まで50位以内を維持できれば、2年連続でマスターズ出場切符を取る。

最新のカテゴリー記事