驚異のエージシューター田中菊雄の世界75田中語録の7 武藤一彦のコラム


☆ゴルフも仕事もひらめきである。考えすぎているひとにゴルフのうまい人も仕事のできる人もいない

 

tanaka75

 1月末から2月のはじめ関東、甲信越に大雪が降った。寒気が居座ってゴルフコースは軒並みクローズ、営業停止が2週間にも及ぶなど記録的な被害となった。
 田中さんにとっても大きな痛手だった。コースを相手のエージシュートである。それがクローズされては手も足も出ない。快調に伸ばしていたエージシュートは、1月には、たったの4回しか達成できなかった。「たったの4回とはなんと冷たい言い方!」と叱られるかもしれないが、そこが田中さんのすごいところ。これまでのエージシュート人生のうちの、月間のエージシュート数では、大病の時を除いて近年で最低の記録となってしまった。

 

 そんなわけで2018年になりエージシュートは273回。1月3日、早々と270回、次いで5日に271回と好スタートを切ったが、22日に272回を出したが、中間、ブランク続いた。そして雪。ところが、1月24日のことである。「ご無沙汰しました。沖縄・喜瀬カントリークラブで273回目がようやく出ました」と電話があった。日ごろ、「エージシュート 今日はどこまでいったやら」―“トンボとり”をうたった俳句を田中さんにかぶせて思い出しているが、沖縄にいるとわかり“その手があったか”と嬉しかったものである。♪東京がだめなら、沖縄があるさ~、と鼻歌が出た。

 

 さて、「ゴルフはひらめき、考えすぎる人にゴルフのうまい人はいない」の語録である。思い切りの良さ。切り替えの早さ。うじうじしない。言い訳もなし。田中ゴルフの真骨頂を言い表して参考になる。雪なら沖縄に行けばいい、とポンとでかける、フットワーク、いい意味の腰の軽さこそが、エネルギーだ。その思考、行動がゴルフにも良い影響を与えエージシューターの支えとなって参考になる。

 

 思い切りのいいショット。驚くような冒険。人を驚かす田中ゴルフだ。フックスタンスの低弾道、かと思うと高い木をはるかに超えるショットを見せる。250ヤードのドライバーショットを打ち、8アイアンで180ヤードのショートホールをこともなげにワンオンさせる。ハンデ5までいったシングルプレーヤーとはいっても、今は82歳だ。だが、やはり人とちがうものを秘めてパワフル。そのエネルギー源は「ひらめき」だ。

 

 「ボールを前にしてあれこれ考えるようじゃナイスショットは期待できません。その時のひらめきが一番正しい。ゴルフだけじゃない、仕事も同じ。池に入れたらどうしよう、ミスしたらいや、大丈夫だろうか、と考えた時にミスは約束されてしまうものだ」エージシュートはゴルフも人生も変えたという名人だから言える解説である。

 

 ◆田中 菊雄(たなか・きくお) 1935年3月3日、島根・松江市生まれ。82歳。神奈川・川崎市を拠点にリフォーム、食品など5社、社員400人を抱える「北山グループ」取締役会長。東京・よみうりGCなど4コース所属、ハンデ5。初エージシュートは06年8月、71歳のとき静岡・富士国際富士コースを70で回った。173センチ、65キロ。