日本ツアー史上最長の8000ヤード越えヤーデージで行われた男子ツアー「ミズノオープン」は、シード選手1年生の秋吉翔太が優勝した。名物16番、705ヤードのパー5をはじめタフな長さの難ホールで新しいツアーを探る大会は、茨城・鹿島灘を望むシーサイドコース、ザ・ロイヤルゴルフクラブ、8007ヤード、パー72で5月24日から4日間争われ、秋吉がただ一人、アンダーパーの1アンダー287ストロークをマークしザ・ロイヤルGCで行われたミズノオープンの初代チャンピオンに輝いた。秋吉は鹿児島出身、09年プロ入りの27歳。下部のチャレンジツアー(今年からAbemaTVツアー)で2勝を挙げ、力をつけた昨シーズン、賞金ランク43位で初シードを手にしていた。

 

 ツアー最長コースで誰が勝つのか。注目していたが、6位スタートの秋吉は5バーディー、3ボギー、ベストスコアタイの70での逆転優勝。ウイニングホールは最長の16番パー5。残り170ヤードを9アイアンでピンそばにつけるバーディーだった。
 全体的には安定したドライバーショットと数少ないバーディーチャンスを逃さないグリーン・イン・レギュレーション・パッティングがさえた。長くタフなホールでは、飛距離が出るものが有利と思われたが、フェアウエーキープ率の高さがものをいった。ドライバーでフェアウエーをキープした結果、グリーンヒット率が誰よりも高く安定していた。優勝争いのプレッシャーは想像を絶するものがあったはず。しかし、ライバルが重圧に屈してスコアを落とす中、ファーストパットをことごとく安全な60センチ以内へと寄せた集中力は、安定したドライバーショットが生んだ。いいドライバーショットが、グリーン上の重圧を軽減させたばかりか、逆に集中力につながっていた。

 

 トーナメントディレクターは往年の名手、鈴木規夫。同コースの立ち上げから手がけ、関西開催の同大会を今年関東の地へもってきた。「タフな世界的規模のコースで日本ツアーのレベルアップを目指す」のが狙いだ。ツアー機構も呼応し細川和彦ら内外のツアー経験者、メジャー大会優勝者をアドバイザリースタッフに起用した。奇をてらわず、選手の技量の限界をギリギリまで引き出すピンポジ、コースセンティングの妙からレベルアップを図ろう、という意図だ。大会はあと2年、同コースで開催が決まっている。新たな歴史から何が生まれるのか、楽しみだ。

 

 優勝した秋吉をはじめ2位タイの川村昌弘、小林正則、ニュージーランドのM・ヘンドリーの上位4人は7月の全英オープン(カーヌスティGL)の出場資格を獲得した。タフさに耐えた結果を海外メジャーにぶつけることができるわけだが、こんな機会はめったにない。どんな成果を見せてくれるのか注目したい。
 秋吉については、さらにグッドニュースもある。6月の全米オープン(ニューヨーク州シネコックヒルスGC)の出場資格を21日、兵庫での「全米オープン日本予選」で手に入れている。3枠の内、あと二つは海外勢に譲ったが、日本にとっては貴重な枠である。

 

 秋吉27歳、といえば石川遼、松山と同世代である。1990年前後生まれのこの世代には小平智もいる。この世代を個人的には、パニック世代と位置付けている。あの15歳の高校生、石川が優勝して起こった混乱、パニックの中、もっとも迷惑をこうむったのがこの世代。「遼はすごいがお前はなにしてるのだ」と比較され、時にいらぬ呵責を受けたパニック世代。松山も小平もそんな中からはいあがって今がある。
 秋吉の台頭は突然のように見えるが、実は時代が準備した筋書きではないか、と思っている。秋吉の登場が驚きでだけではない事を祈りたい。秋吉に期待する。新時代のリーダーとなれ!

 

武藤 一彦(むとう・かずひこ)
ゴルフジャーナリスト。コラムニスト、テレビ解説者。報知新聞には1964年入社、運動部に所属、東京オリンピックはじめボクシング、ゴルフ、陸上担当。編集委員、専属評論家も務めた、入社以来50年、原稿掲載の”記録”を現在、更新中。
日本ゴルフ協会広報参与、日本プロゴルフ協会理事を経て日本プロゴルフ殿堂表彰選考委員、日本ゴルフ振興協会広報メディア委員、夏泊ゴルフリンクス理事を務める。

ゴルフは4メジャーのほか、ワールドカップなど取材、全英オープンは1975年から取材し日本人記者のパイオニア的存在。青木功のハワイアンオープン優勝にも立ち会った。1939年生まれ。東京都出身、立大出。

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