6月2日、驚異のエージシューター、83歳の田中菊雄さんは、東京よみうりカントリークラブ(7,024ヤード、パー72)で39,42の81、自分の年齢を2ストローク下回る2アンダーのエージシュートで回り、生涯のエージシュート記録を300回の大台に乗せた。
田中さんは2006年、71歳のとき70のエージシュートを初めて達成、以来77歳までに11回のエージシュートを記録。その足取りは78歳以降、急ピッチに上昇、80歳時には年間50回を記録、2016年の正月には通算100回、2017年、82歳時の5月には200回とそのペースを上げ、今年3月3日、83歳の誕生日までに275回と記録を伸ばしていた。
300回記念ラウンドは6月2日、東京よみうりCCで長男・伸一さん、次男・秀樹さん、コーチ格の浪崎由里子プロとスタート。「いつもなら若い人はバックティー、わたしは(距離の短い)白ティーだが、300回を意識して私もバックティーでまわった」と挑戦意欲を駆り立てた。バックティーは7,000ヤードを越えたが、アウトを39。インは10番、11番とボギーの後16番までパー。17番パー5はボギー。最終ホールの名物のパー3は「30代を目指して力んで」2オン3パットのダブルボギー。それでも42で計81のエージシュートだった。
コースは男子ツアーの最終戦「ゴルフ日本シリーズ」の舞台、コースレート73・3である。81はまさに記念ラウンドを飾るにふさわしい内容だった。「両方とも39で回っていい記念にしようと力んだ」と80台のスコアを田中さんは悔しがったが、同伴競技者、女子ツアーのトーナメントプロの浪崎プロは「12番から3ホールは7~8メートルのパーパットを連続してねじ込み、まさに田中ゴルフ満開。エージシュートという目的をもってゴルフに取り組む強い姿勢が快挙につながった。ショットも飛んでいた。パットはプロ以上。励みになった、元気をもらった」と絶賛だった。
年齢と同じか、それ以下のスコアで回るエージシュートは、加齢とともに衰える体力を克服しながら自己の限界に挑むゴルフ競技。ホールインワンとともに生涯で1回はやってみたい夢のラウンド。プロ、アマの競技スポーツ界もその記録を残しその栄誉を讃えるのが慣例となっている。
田中さんは、不動産、食品など5つの会社を経営する北山グループ取締役会長(神奈川県川崎市)。遅くゴルフを始めたゴルファーをレイトゴルファーと呼ぶが、ゴルフは35歳と始めたのは遅かった。その後、東京よみうりCCなど4コースに所属、競技会など50年近くのキャリアを積んでいる。71歳でエージシュートを達成したのを機に、ティーグラウンドは6,000ヤード前後のレギュラーティー(白ティーと呼ばれる)を使用、ノータッチ、オーケーパットなしの“独自の規則”で日常のラウンドを競技化、全データを記録している。
エージシュートはバックティーを使った公式競技でも記録されている。所属の東京よみうりCCでは今年、伝統のクラブ対抗戦の代表入り、主催の関東ゴルフ連盟によると83歳の代表は史上最年長の名物ゴルファーだ。その名声は、ゴルフ界に広く知られ、年齢をハンデキャップとしたエージシュート競技を目指す一般社団法人「日本エイジシュート・チャレンジ協会」を立ち上げ、ゴルフの普及発展を目指し会長も務めている。今後の一層の活躍が注目される。
300回までの年齢別エージシュートの推移
1回 71歳 2006/8/29 富士国際・富士 70 34 38
2回 73歳 2008/7/4 桜ケ丘CC 72 36 36
4回 74歳 2009/4/8 よみうりGC 72 39 33
5回 75歳 2010/3/23 よみうりGC 73 37 36
9回 76歳 2011/7/8 よみうりGC 76 39 37
10回 77歳 2012/8/24 桜ケ丘CC 77 40 37
11回 78歳 2013/5/15 よみうりGC 74 37 37
27回 79歳 2014/3/28 よみうりGC 79 40 39
55回 80歳 2015/4/3 相模CC 77 39 38
105回 81歳 2016/3/23 よみうりGC 75 36 39
186回 82歳 2017/3/3 木更津GC 82 41 41
276回 83歳 2018/3/7 シギラベイCC 76 39 37
300回 83歳 2018/6/3 東京よみうりCC 81 39 42
◆田中 菊雄(たなか・きくお) 1935年3月3日、島根・松江市生まれ。83歳。神奈川・川崎市を拠点にリフォーム、食品など5社、社員400人を抱える「北山グループ」取締役会長。東京・よみうりGCなど4コース所属、ハンデ5。初エージシュートは06年8月、71歳のとき静岡・富士国際富士コースを70で回った。173センチ、65キロ。