最終ホールでバーディーパットを外して思わずしゃがみ込む原辰徳さん
◆男子プロゴルフシニアツアー ファンケルクラシック最終日（１９日、静岡・裾野ＣＣ）
アマチュア枠で大会初出場のプロ野球・巨人の原辰徳前監督（６０）＝ファンケル＝は２バーディー、２ボギーの７２で、通算２０オーバーをキープ。最下位（棄権を除き７４位）から脱出し、７３位になった。最下位は通算２２オーバーの小達敏昭（５０）＝Ｏ．Ｇ．Ｇ．Ｃ＝。タイのプラヤド・マークセン（５２）＝フリー＝が通算１３アンダーで並んだ米国のグレゴリー・マイヤー（５６）＝パールＣＣ＝をプレーオフ３ホール目で下し、シニアツアー今季５勝目、通算１３勝目。
８６をたたき「４タコ（４打数無安打）」と嘆いた前日から一転、“猛打賞”だ。原さんは第１、２日ともダブルボギーだった２番パー５で８メートルのバーディーパットを沈め“鬼門”にリベンジを果たすと勢いに乗り、１８ホールを回りきった。
「４打数３安打、２ホームランという気持ちです」
７０００ヤード超で高速グリーン。プロ設定の難コースをイーブンパーで耐えた原さんは胸を張った。最終日だけなら中嶋常幸（６３）、川岸良兼（５１）ら歴戦のプロに勝ち、通算でも最下位から脱出。前日から１４打も縮め、「人間、生きているなら進歩しないとね！」と笑った。
土壇場で勝負師の本能がよみがえった。「今朝は久しぶりに血液が沸騰するような闘争エネルギーが湧いてきた」と、目を見開いた。
原さんの参戦が話題となり、３日間の観客数は計２万５２１４人。２０１２年の今大会でマークされた日本シニアツアー記録（２万３８０２人）を更新した。「観客が多いことは気持ちいい。その中で悔しい思いをしたことも貴重な経験。（ファンケルの）池森（賢二）会長の命（めい）があれば、また戻ってきます」と、来年大会でさらなる活躍を誓った。
大会スローガンは「シニアの元気が日本の元気！」。「同世代の方々に『まだ原は頑張っているんだな』と前向きになってもらえたらうれしい」と爽やかに話す。原辰徳、６０歳。還暦を迎えても「若大将」と呼ばれる男ならではの戦いぶりだった。（竹内 達朗）