◆男子プロゴルフツアー アジアパシフィック・ダイヤモンドカップ最終日(23日、埼玉・武蔵CC笹井C=7060ヤード、パー71)
首位から出た池田勇太(32)=フリー=が4バーディー、1ボギーの68で回り、通算15アンダーで今季初優勝、史上11人目の通算20勝目を挙げた。32歳275日での到達は中嶋常幸、尾崎将司に次ぐ3人目の若さ。10年連続Vは1973年のツアー制施行後、杉原輝雄と並ぶ4番目の長さとなった。目標に掲げる永久シード獲得の25勝まであと5勝。賞金ランクも3位に浮上して、16年以来の王座へひた走る。
512ヤードと最難関の2番パー4で、池田が早々と勝負を決めた。残り204ヤードの第2打で5アイアンを振り抜いた。3メートルにつけてバーディーを奪い、同組で同スコアの張がダブルボギーで3打差に開くと、そのまま逃げ切った。「2番はティーショットもセカンドもパッティングも、全てが良くてバーディー。早い段階で(1番のボギーを)チャラにできたかな」
2位に6打差をつけ今季最多差での優勝。「自分を褒めてあげたいし、周りの人にも感謝したい。1勝ずつ積み重ねて来られたから20勝を迎えることが出来たと思う」。2009年の初優勝から毎年勝利を重ね、過去に尾崎将司、青木功、片山晋呉、杉原輝雄しか果たしていない10年連続勝利を決めた。
8月の海外メジャー、全米プロ開幕前の2日、7歳から指導を受けたジュニア時代の恩師・千葉晃プロ(享年73)が亡くなった。7日の葬儀には参列できないまま渡米した。最後に会ったのは昨年だった。「体調が悪いのは知っていたけど残念です」と、静かに活躍を誓っていた。
「(今回)こういうふうに圧勝することができて、喜んでくれていると思う。天国でウチのじいさんと一緒に見ていてくれたかな」。3年前にはゴルフの基礎を教えてくれた祖父・直芳さんが85歳で他界。千葉プロとも親交のあった大切な2人を思った。
32歳での20勝到達にも「まずは25勝の永久シードを目指す」と先を見据えた。これまで3番目だった32歳299日の倉本昌弘を24日差で上回り「一番うれしい。倉本さんに連絡しておく」とおどける場面も。30代で20勝した6人は全員が25勝の永久シード選手になっている。
賞金ランクでも3位に浮上し、20勝中13勝を9月以降に挙げている“秋男”は、2度目の賞金王も視界に捉えた。「年内に21勝、22勝と挙げて行かないと、そういう場所には行けない」。日本ツアーを引っ張る思いは、誰にも負けない。(宮下 京香)