【鈴木が試した】日本シャフト「MODUS3」


 アイアンのスチールシャフトが復活しつつあるのをご存じだろうか。かつて、ダイナミックゴールド(DG)一辺倒だった時代から、軽量スチール、カーボングラファイトと、どんどん軽量化されてきたが、今の人気は“やや重”のニュースチール。中でも話題の「MODUS(モーダス)3」を、シニア記者が試してみた。

 いい年をしていまさらスチール?と笑われるかも知れないが、アイアンのシャフトをカーボンに替えてから、悩んではいたのだ。軽くて飛ぶのはいいが、どうしてもラフに負ける。さらに、スイングのリズムが早くなって、薄い当たりが多くなった。どうしたものか。そこへ「モーダス、いいらしいよ」のうわさ。これは試してみないといけない。

 「DG」と、ライフルの「プロジェクトX」ぐらいだった米男子ツアーも、最近は“やや重”の「KBSツアー」が人気。特徴的なシールが、マスターズの中継でもよく目立った。そこへ割って入ろうと「NSプロ」で有名な日本シャフトが開発したのが「モーダス3」だ。最初の「ツアー120」が発売されたのが11年3月。日本の男子ツアーではかなり使われ、さらにそのプロの声を生かした「ツアー130」が今年2月、発売された。

 同社から「120」装着アイアンを1セット借りて、千葉のゴールデンクロスCCに持ち込んだ。ヘッドはロイヤルコレクションのBBD706V。ついでに「130」の6アイアンを1本だけ借りて(こちらの頭はエポン)、比較検討をもくろんだ。なぜ新商品の方が少ないかというと、「120」より10グラム重いという重量にびびったため。そうでなくても久々のスチール。衰えを隠しきれないオジサン記者に本当に振れるのか。興味と不安が半々のスタートとなった。

 結論から先に書くと、「120」は良かった。「NS950」より重く、「DG」よりは軽い。思った以上に手元がぐっとしなって、切り返しのタイミングが取りやすい。フレックスはSだが、感覚的にはほぼR。DGによく似たフィーリングだ。弾道は低いが、粘りがあるので、球筋のコントロールはしやすい。さらに先端部を締めてあるので、左右にばらつかない。何よりシャフトの重さが、スイングのリズムをゆったりさせる。

 一方、「130」は手強かった。「120はスピンが多すぎる」というプロの要望で開発されたため、「120」とは真逆で中間部が硬く先が動く設計。お陰で低スピンの高弾道にはなったが、ヘッドスピードが秒速43メートル程度のオジサンでは、ほとんどしなりが感じられない。結果、打ち急いでしまって、2発もシャンクが出てしまった。こちらは明らかにハードヒッター向けだろう。

 考えてみれば、プロには無用なスピンは一般アマには大歓迎だ。150ヤードパー3の7番。7アイアンのショットはピン80センチにピタリと止まった。「いい球、打ちやがんなあ」。同伴メンバーの舌打ちが耳に心地良い。

 そもそもアイアンのシャフトは、少し重いぐらいがちょうど良いのだ。KBSと迷うところだが、“ジャパンテクノロジー”ならモーダス。“やや重”スチールで、若返りを狙ってみるか。(鈴木 憲夫)