渋野日向子、3打差の2位で決勝R 絶好調の理由「分からない」


 ◆米女子プロゴルフツアー メジャー最終戦 AIG全英女子オープン第2日(2日、英国ミルトンキーンズ・ウォバーンGC)

 1打差2位から出た渋野日向子(20)=RSK山陽放送=は4バーディー、1ボギーの69で回り、通算9アンダーで首位アシュリー・ブハイ(南アフリカ)と3打差の2位で決勝ラウンド(R)へ進んだ。初のメジャー参戦ながら、日本ツアーと変わらぬ普段通りのプレーで快進撃を続け、1977年全米女子プロの樋口久子以来2人目のメジャー制覇に挑む。アマチュアの安田祐香(18)=大手前大1年=が70と伸ばし、73だった横峯さくら(33)=エプソン=とともに通算1アンダーで36位。勝みなみ(21)=明治安田生命=もイーブンパーの48位で予選を通過した。

 初の海外メジャーでも、“日本のシンデレラ”の快進撃が止まらない。渋野はトレードマークの笑顔を絶やさず、堂々のプレーで2位を2日間キープした。ショットは安定し、フェアウェーを外したのは3ホールのみ。計27パットと得意のグリーン上でスコアを作った。第3Rは最終組で「初メジャー、初海外でこの順位は本当に出来すぎ」と目を丸くした。

 突如現れた初出場のダークホースに、現地のギャラリーからサインを求める声が相次いだ。20歳の新鋭は「プロテストに合格してから1年。なぜか分からないけれど、本当に調子がいい」と驚きを隠せない。海外メディアから取材も殺到。あだ名を聞かれると「スマイル・シンデレラ」と答えた。今大会前、大英博物館やウェストミンスター宮殿など、ロンドン観光を楽しんだことも明かした。

 渋野の母・伸子さん(51)と祖母は、岡山市の自宅でテレビ観戦した。母は「びっくりしています。普通に他の(国内)遠征と変わらない感じで出て行った。今年はどこのコースも初めてですし、特に海外だからということもなかった」と普段通りにプレーするまな娘を評した。国内ツアー同様「よっちゃんいか」など多くの駄菓子も持ち込んでリフレッシュしている。

 “地の利”もある。今大会はロンドン北部の林間コースだ。雨、風の強い全英らしい海沿いのリンクスではなく、高い松林でセパレートされた日本に多いつくりだ。メジャー昇格前の1984年大会で、岡本綾子が優勝したのも同じウォバーンGC。渋野も岡本と同じくソフトボール経験者でもあり、期待を抱かせる。

 日本女子42年ぶりのメジャー制覇をかけ、3打差を追う。全英女子の日本勢歴代最高は08年不動裕理、09年宮里藍の3位。「あと2日間は緊張すると思う。その中でどれだけスコアメイクできるか、自分との闘いになる」と渋野。日本ツアー同様、初優勝をメジャーの大舞台で飾る。

 ◆1977年全米女子プロでの樋口久子のメジャー初優勝 米サウスカロライナ州ベイツリー・プランテーションCC(5786ヤード、パー72)で第1ラウンド(R)は1アンダー71で滑り出すと、第2Rは5バーディー、ボギーなしの67で首位に浮上。第3Rはパープレーの72でまとめた。首位タイで出た最終Rは5バーディー、2ボギーの69で通算9アンダーで2位に3打差をつけて日本人男女通じて初のメジャー制覇。優勝賞金2万2500ドル(当時のレートで約630万円)を手にした。

 ◆女子ゴルフのメジャー大会 厳しい出場資格をクリアした世界トップ選手が集う最高峰の大会。女子5大会は今年は4月のANAインスピレーション(日本人最高位は01年大会福嶋晃子2位)、5月の全米女子オープン(87年岡本綾子2位)、6月の全米女子プロ選手権、7月のエビアン選手権(13年からメジャーへ昇格。16年野村敏京8位)、全英女子オープン。全英は76年に創設され、84年に岡本綾子が優勝。01年からメジャーに昇格した。タフなコースでピン位置設定が厳しいことが多い上、トップ選手が調子を合わせてくるため、優勝は難しい。

最新のカテゴリー記事